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徹底ネタバレ解説!『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』あらすじから結末まで!

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

 

絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする。工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友とその冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃんは、「天才」の凶行を“証明終了”できるのか?第23回メフィスト賞受賞作。

【「BOOK」データベースより】

 

西尾さんといえば、『化物語』を思い浮かべる方も多いと思いますが、本書もまた名作です。

第23回メフィスト賞受賞作であり、西尾さんのデビュー作です。

 

本書を筆頭にした作品群を『戯言シリーズ』と呼び、全九冊あります。

さらにそこから派生した作品も多数ありますので、西尾ワールドはとどまるところを知りません。

 

化物語でもお馴染みの強烈なキャラ、癖になる絡み合いも見どころの一つですが、本書では『天才』がテーマとなっています。

もはや天才のインフレが起こり、誰がすごいんだかよく分からない状況にまでいきます。

 

ミステリーとしても面白いですが、そこは正統派とはまた違った趣がありますので、それを踏まえてお読みください。

またアニメ化もされましたので、こちらも合わせてどうぞ。

 

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この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

概要

 

物語の舞台となるのは、鴉の濡れ羽島という赤神財団が保有する島で、現在は本家から永久追放された赤神イリアが四人のメイド共に暮らしています。

イリアは自分の退屈をまぎらわせるためにあらゆる分野の天才を呼ぶことにし、ぼくは技術屋として天才の玖渚友の付き添いとして島を訪れ、事件に巻き込まれていきます。

 

二人の滞在期間は一週間で、物語は滞在三日目から始まります。

 

 

登場人物

 

本書には多くの人物が登場し、個性派揃い。

さらに背景が濃すぎるので、一度ここで整理したいと思います。

 

 

ぼく

 

戯言遣い。

本名は明かされず、友からは『いーちゃん』と呼ばれている。

 

中学二年生から五年間、ER3システム(邦名は大統合全一研究所)という世界中の頭脳が集まってあらゆる研究、学問を極める団体のプログラムに参加するが、途中でやめ、京都に戻って友と再会する。

 

 

玖渚友

 

かつてぼくと半年間だけ交流があり、ぼくがERプログラムをやめたのを機に京都に戻ってきたことで再会。

一人称は『僕様ちゃん』で、京都の城咲という高級住宅街に住んでいる。

 

劣勢遺伝子である青い瞳と青い髪を持ち、髪は友が風呂嫌いなため、濁った青色をしている。

かつて日本のサイバー界を震撼させた『チーム』という組織の創立者で、チームはすでに解散している。

 

サヴァン症候群で、特に機械関係においてその能力を発揮するが、階段など極端な上下運動はできないなど、能力が極端に偏っている。

彼女の実家、世界中に影響力を持つ玖渚機関。

 

 

赤神イリア

 

五代財閥の一つ、赤神財団の令嬢だが、あることをきっかけに財団から永久追放された。

わずかな手切れ金と鴉の濡れ羽島の所有権が与えられ、そこで暮らしている。

 

 

班田玲

 

イリアに仕えるメイド長。

 

 

千賀あかり

 

イリアに仕える三つ子メイドの長女。

見た目は三人とも全く同じだが、激しい性格をしている。

 

 

千賀ひかり

 

イリアに仕える三つ子メイドの次女。

温和な性格をしている。

 

 

千賀てる子

 

イリアに仕える三つ子メイドの三女。

一人だけメガネをかけている。

 

滅多に喋らない。

 

 

伊吹かなみ

 

天才画家で、数年前まで病気で目が見えなかった。

また生まれつき足が悪く、車イスで生活している。

 

非常にプライドが高い。

 

 

佐代野弥生

 

天才料理人。

どんな料理でも他人よりおいしく作ることが出来る。

 

その秘密は絶対味覚にあり、またそれよりは劣るが嗅覚にも優れている。

 

 

園山赤音

 

ER3システムの中でも特に優れたトップ七人を『七愚人』と呼び、彼女は二十代という若さで日本人として初めその座まで上り詰めた。

 

 

姫菜真姫

 

天才占術師。

ESP(超能力)の持ち主で、他人の心を見ることが出来る。

 

 

逆木深夜

 

かなみの付き添いで島を訪れた。

ぼくと同じく、天才ではない。

 

 

哀川潤

 

人類最強の請負人。

何でも出来る。

 

本書では名前だけ出てきて、登場するのは最後の方のみ。

本格的な活躍は次作以降。

 

 

 

三日目

 

ここからは物語の中身について。

ぼくが友に連れられて鴉の濡れ羽島を訪れて三日目。

 

ぼくは深夜との会話の中で、今から一週間後にイリアのお気に入り(後に潤のことだと判明)がこの島を訪れることを知りますが、友の性格からしてそのために滞在を延長しないことは分かっていました。

会話の中で、似た者同士だと感じる深夜。

 

ぼくは深夜の勧めでかなみに自分の絵を描いてもらうことになり、午後にアトリエに行く約束をします。

友は部屋にとじ込もって複数台のパソコンの相手で忙しいため、ぼくは一人で朝食を食べにダイニングに向かうと、赤音がいました。

 

彼女も当然、ERプログラムのすごさを知っているため、中退とはいえそこに参加していたぼうの能力を高く評価します。

しかし一方で、ぼくと友の関係を共依存だと指摘し、お互いにダメにならないよう忠告します。

 

また午後から将棋をしないかと誘われますが、かなえとの先約があったため辞退。

友の部屋に行くと、彼女はぼくの腕時計が壊れていることに気が付き、修理するために一時預かります。

 

昼食を食べ終えると、ぼくはかなみのアトリエに向かいます。

かなみは描く対象を記憶し、一人で描くため、二時間後にぼくは彼女のアトリエをあとにします。

 

夕食は全員で食べるという唯一のルールがあり、一堂はダイニングに集まります。

途中、赤音とかなみは言い争いをしますが、友が不満をあらわにしたことでどうにかその場は収まります。

 

その後、ぼくと友は彼女の部屋に戻りますが、友がお腹が空いたということでリビングに行くと、ひかり、深夜、真姫が談笑しています。

二人も合流すると、深夜からかなみについて色々教えてもらいます。

 

かなみの目が治った頃、彼女には家族も学もありませんでした。

そこで深夜は彼女に絵を教え、あっという間に追い抜かれてしまったため、絵を描くのを止めたのだといいます。

 

また、真姫はぼくのことが気に入らないのか、ことあるごとに突っ掛かってきます。

そんな彼女が島に来た理由、それは島で昔あった事件に興味があったからでした。

 

ぼくは事件の詳細を聞こうとしますが、その時、地震がきて大きく揺れます。

揺れが収まると、深夜は内線をかなみにかけ、揺れた拍子にアトリエにあるペンキが倒れますが、無事を確認します。

 

友のお腹が膨れたこともあり、ぼくと友は退席するのでした。

 

 

四日目

 

翌日、深夜かかなみの死体を見つけ、屋敷は騒然とします。

かなみの死体は首から上がなく、地震で倒れたペンキが川のように床にぶちまけられていて、まだ乾いていません。

 

一同はダイニングに集まると、それぞれのアリバイを確認します。

ペンキの川は幅が三メートルほどあり、飛び越えることは不可能。

 

足跡も残されていないことから、犯行は地震以前だと推測され、アリバイかないのは赤音だけでした。

しかし、深夜は地震の後にかなえの生存を確認しており、状況と矛盾します。

 

ところが、深夜がかなみと勘違いしたという線も否定できないため、赤音には依然として容疑がかけられています。

犯人の決め手がありませんが、イリアは頑なに警察を呼ぶことを拒みます。

 

そこでぼくは、自分が寝泊まりしている倉庫で赤音を保護することを提案。

監禁ともとれますが、これで赤音以外が犯人ならば、動いて彼女の無実を証明するわけにはいかないので動くことができず、拮抗状態を作ることが出来ます。

 

それでもイリアは警察を呼ぶつもりはありません。

この状況をこれから島を訪れる潤に解決してもらうのだといい、一同は一応それに納得します。

 

ぼくと友は事件の調査に乗り出します。

二人は事件現場を調べ、デジカメにおさめていきます。

 

ぼくはかなみの描いた自分の絵に違和感を覚えますが、その正体までは分かりません。

また、切られた頭部は見つからず、真ん中ではなく根本から切られているのも気になります。

 

深夜はイリアの許可をとり、かなみの死体を寝袋に詰め、裏山に埋めます。

現場を見て情報が足りないと感じた友は、かつてのチームの一員だったちぃくんに連絡をとります。

 

その夜、食事をとりながらイリアが真姫にこの先がどうなるか占ってもらうと、真姫はすぐ終わるとだけ告げ、詳しい説明は何もしてくれません。

その後、ぼくは監禁されている赤音に会いに行きます。

 

赤音は密室の謎をすでに理解している様子で、『post hoc fallacy』というラテン語だけ教えてくれます。

僕が友の部屋に戻ると、イリアに友の推理を聞いてくるよう言われたひかりが来て、状況を整理することに。

 

ぼくも友も赤音の言葉の意味を理解していて、ひかりに説明するために友は『post hoc ergo propter hoc(因果の誤り)』といいます。

人間は続けて起こった出来事を関連づけてしまいがちですが、必ずしもそこに因果関係があるわけではありません。

 

つまり今回の事件でいうなら、ペンキが倒れたのは地震のせいではないということです。

それならば、かなみを殺害後にペンキをわざとぶちまければいいので、犯行不可能な密室にも穴が見えてきます。

 

これで容疑者は一気に増えることになります。

赤音はこの事実に気が付いていて、それでも拮抗状態を保つために倉庫に残ることを選んだのです。

 

友は話を変え、なぜイリアが永久追放されたのかを聞きますが、ひかりは答えてくれず、部屋をあとにします。

その後、ちぃくんからメールが届き、いくつかの事実が分かります。

 

半年前、シカゴの喫茶店で、仲が悪いはずのかなみと赤音が一所に食事をしていたこと。

この時点で、この事実が意味することは分かりませんが、後に重要な意味を持ってきます。

 

 

 

五日目

 

翌朝、激しいノックの音で目が覚めるぼく。

部屋に入ってきたあかりは取り乱していて、一階の倉庫に来るよういいます。

 

友を起こして向かうと、待っていたのは首のない赤音の死体でした。

鍵は閉まっていて、ここを開けられる鍵を持っているのはひかりだけ。

 

室内から操作することで開閉できる窓はありますが、二階ほどの高さで侵入は不可能。

必然的にひかりが容疑者の最有力候補になってしまいます。

 

ダイニングに全員が集まると、またしてもアリバイを確かめます。

夜中の二時頃、ひかりのもとに赤音から電話が入り、本を持ってきてほしいと言われます。

 

その時、ひかりは赤音が生きていることを確認しているので、死んだのはその後ということになります。

ぼくと友にはアリバイがありませんが、ここで友は一人では極端な上下移動が出来ないことが判明。

 

つまり、一人で二階から一階の倉庫には行けないことになります。

他にもアリバイのない人間はいますが、結局は密室の問題でひかりにしか犯行は不可能だという見方が有力となります。

 

確かに窓は開いていましたが、死体のそばにあった椅子に立ってジャンプしても窓には届きません。

ぼくは赤音の監禁を提案したこともあり、ひかりの無実を証明しようと考えます。

 

そこで三チームに分かれ、一人にならないようにしながら捜査することを提案。

ぼく、友、ひかりがチームA、イリア、玲、あかり、てる子がチームB、そして真姫、深夜、弥生がチームCに決まります。

 

ぼくたちはまず赤音の死体を埋葬しようと考え、その前に現場保存をしようとデジカメを取りに部屋に戻ります。

すると友のパソコン、デジカメやモバイルが全て破壊されていました。

 

おそらくかなみの部屋で撮った何かを隠蔽することが目的と思われます。

しかし、ダイニングに全員いたため、この犯行が出来る人間はいないことになります。

 

これも事件の謎を解くためのカギだと思い、赤音の死体を埋葬後、捜査を始めます。

外から倉庫の窓を調べると、山に半分埋まっていて、外からなら侵入することはそう難しくないことが判明しますが、窓は中からしか開かないため、赤音が開けない限りは侵入できません。

 

昼食後、ぼくはイリアに謁見。

しかし、イリアは相変わらず警察を呼ぶつもりはなく、話になりません。

 

退出時、てる子がついてきて、無口の彼女が口を開き、イリアの秘密について教えてくれます。

イリアの左手首には傷があり、それは殺傷症候群によるものだといいます。

 

自分や他人を傷つけずにはいられない精神病。

イリアにはオデットという双子の妹がいましたが、この病気によってイリアは妹を殺害してしまいます。

 

ゆえにイリアは犯罪者であり、警察など呼びたくないのです。

言いたいことだけ言って去っていくてる子。

 

ぼくは半ば納得しかけますが、ふと思い出します。

彼はイリアの着替えを見たことがあり、その時、左手首に傷などありませんでした。

 

つまり、てる子が嘘をついていたことになり、何も解決しませんでした。

その後、ぼくは部屋に戻ると、ようやくかなみの描いた絵の違和感に気が付きます。

 

絵には、腕時計が描かれていました。

しかし、ぼくは事前に壊れた腕時計を友に預けていたため、そこに描かれているのはおかしいということになります。

 

何かのヒントになりそうですが、友は描き間違えと一蹴。

一方、彼女は赤音の死体の指に違和感を覚えていましたが、うまく思い出せません。

 

ぼくは先ほどのてる子のした話について確認すると、ひかりは全部本当だと肯定。

友も事情を知っていたようです。

 

つまり、犯人はイリアが警察を呼ばないことを知っていて、だからこそこんな犯行に及んだのかもしれません。

と、ドアがノックされ、そこには弥生がいました。

 

彼女は嘘をついていたことを正したいのだといいます。

地震が起きた晩、確かに彼女はイリアと話していましたが、そこに玲はいなかったのだといいます。

 

つまり、イリアは玲をかばっていることになります。

弥生は、イリアが玲に命じ、今回の事件を引き起こしたのではと考えていました。

 

そのために天才たちをこの島に呼んだのだと。

弥生はパニックのために支離滅裂なことを言いますが、その言葉がきっかけとなり、ぼくは事件の真相に気が付きます。

 

そこでこの場にいる三人に協力してもらい、一芝居打つことにします。

その日の夕食時、突然弥生は取り乱し、一人部屋に閉じこもるとダイニングを出ていきます。

 

ぼくは友を残してあとを追うと、廊下で弥生と合流。

もちろん演技です。

 

ぼくは弥生をダイニングに戻らせると、彼女の部屋に足を踏み入れます。

すると鉈を持った何者かに襲われます。

 

死を覚悟しますが、そこに第三の人物が乱入し、襲撃者から守ってくれます。

てる子でした。

 

彼女は襲撃者の骨を折るなど圧倒的な力を見せて勝利。

実はてる子は他の二人のメイドと近い、イリアの護衛が仕事だったのです。

 

二人は会話を交わしますが、突然銃声が鳴り、てる子がぼくに向かって倒れます。

形勢は逆転し、ぼくは今度こそ死を覚悟しますが、今度は友が乱入。

 

ここに来られないように置いてきたはずなのに、彼女は一人で階段を昇ってきたのです。

襲撃者は銃口を友に向けます。

 

ぼくはなす術がなく、友が好きだと告白し、やめてほしいと懇願。

すると、襲撃者はぼくからそんな言葉が聞けたからよしとすると、銃口を下げます。

 

犯人は、赤音でした。

 

ダイニングに戻ると、重傷を負った赤音が以外がいて、ぼくは説明を求められます。

まずは赤音の死体について、赤音が生きている以上、あれは彼女の死体ではないことが分かり、つまりかなみの死体ということになります。

 

そもそも、友のパソコンの破壊はダイニングにいた全員に不可能なことでした。

つまりここにいない人物の犯行だということが想像でき、赤音が生きている可能性が浮上しました。

 

ただこの犯行は赤音一人には行えません。

協力したのは深夜です。

 

彼は寝袋に詰めてかなみの死体を埋葬しますが、それは汚れをつけずに再利用するためにです。

ぼくは深夜が用意した寝袋が不自然だと怪しんでいたのです。

 

死体は首がないため、服装でしかその人と判断できず、かなみの死体に赤音の服を着せることで彼女であると誤認させます。

警察が来れば血液検査などで一発でバレてしまいますが、イリアは警察を呼ばないため、こんな杜撰な犯行も可能になってしまいます。

 

しかし、友の撮った写真で死体を比べられると同一のものだと気付かれる恐れがあったため、だから彼女のパソコンなどを破壊しました。

友が気にしていた死体の指、それはかなみの死体と赤音の死体、どちらも指紋が同じだったことでした。

 

そして、犯行の動機について。

深夜は全員を殺す予定で、そのためには輪から外れる必要があった、だから偽装したのだといいます。

 

つまり、監禁されたことも赤音の計算内でした。

しかし、どうやって赤音が倉庫から脱出したのか、疑問が残りますが、ぼくは解説します。

 

深夜が倉庫にかなみの死体を放り入れ、赤音は自力で窓から脱出します。

そのためにかなみの死体を利用します。

 

死後硬直で硬くなったかなみの死体を踏み台にして、赤音は窓から脱出したのです。

根本から首を切ったのは、平らにして踏み台として利用しやすくするためです。

 

説明を終え、なおも動機について納得のいかないイリア。

すると、そこに赤音が現れ、言います。

 

ここにいる全員の脳を食べようとしたのだと。

 

 

一週間後

 

予定通りに島を出ることにしたぼくと友。

ぼくは真姫に今後の自分と友の関係について聞くと、二年ほどはこのままだといいます。

 

二年と限定したのも、真姫は二年後、自分が死ぬことを知っていて、その先の未来を見ることが出来なかったからです。

真姫は最後に、ぼくに自分を殺した相手を告発してほしいと依頼するのでした。

 

船に乗り、到着間際でそれを知らせる玲。

そこでぼくは玲のことをイリアだといい、彼女もまたそれを認めます。

 

島についた時からイリアと玲は入れ替わっていました。

イリアの暇つぶしのために。

 

イリアは二人に島に残ってほしいと言いますが、ぼくはそれを辞退します。

最後に、警察を呼ばなかったのは単純に面白くないからだといい、左腕をまくって見せてくれます。

 

そこには傷一つありませんでした。

もはや誰が本当のことを言い、誰が嘘を言っているのか分からなくなるぼくでした。 

 

 

後日談

 

京都に戻って大学に通うぼくですが、つまらないので午前で大学を切り上げます。

本屋を出ると、目の前に高級車が止まっていて、派手な服装の美人が下りてきて、何も言わずにぼくを殴り、哀川潤だと名乗ります。

 

彼女はぼくのことを探していて、無理やり車に乗せるとどこかに向かって走り出します。

彼女はぼくの顔を見るだけでなく、鴉の濡れ羽島での事件の真実を語るという目的もありました。

 

潤は島に行き、イリアたちから事件のことを聞き、それだけで真相に辿り着いたのです。

実はぼくも疑問を持っていて、それはなぜ深夜がかなみを殺すのか、なぜ深夜と赤音が共犯関係を結んだのかということでした。

 

潤はいいます。

かなみが描いた絵に腕時計があった理由、それはあの絵はかなみが描いたものではなかったからです。

 

ぼくが対面したかなみ、彼女は偽物で、赤音が成りすましたかなみでした。

つまり、本当に死んだのは赤音で、かなみは赤音として生きていることになります。

 

二人は半年前、シカゴで会っていて、この話を持ち掛けたのはかなみでした。

赤音も面白そうだと話に乗り、島に行く段階ですでに入れ替わっていました。

 

かなみはなぜ赤音と入れ替わったのか。

それは赤音の立場を得るためです。

 

全員を殺すだとか、脳を食べるためだとかは全て嘘で、目的が別にあるように誤認させるためです。

この事件は警察には通報していないため、今もかなみと深夜は自由に生きています。

 

ぼくは七愚人である赤音の代わりが出来るはずがないと反論しますが、かなみはそれも出来る天才なのだろうと潤は言います。

さらに、ぼくが伊吹かなみだと思っている人物、その人自体がすでに誰かに成り代わられている可能性もあると指摘。

 

つまり、名前も知らない天才が初めに伊吹かなみに成り代わり、今回、園山赤音に成り代わった可能性があるということです。

潤は解説が終わると、車からぼくを降ろします。

 

目の前には、友の家がありました。

ぼくはあれこれ悩んだ末に、友の隣に行こうと決意し、彼女の元に向かうのでした。

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。

デビュー作とは思えない存在感を放つ作品だと思います。

 

どちらかというと人によって向き不向きのある癖の強い作品ですが、間違いなく名作だと思いますので、あらすじで面白いと感じた人はぜひ手に取ってみてください。

 

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

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