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『これは経費では落ちません!4』ネタバレ感想!あらすじから結末まで!

これは経費で落ちません! 4 ~経理部の森若さん~ (集英社オレンジ文庫)

 

経理部の新入社員・麻吹美華は、なんでも率直にものを言う。オブラートに包むということがない。おかげで波風立てずに会社員生活を送りたい沙名子は、気苦労が絶えない。私生活では太陽とつきあいはじめたものの、初めての恋愛にペースを乱され戸惑い気味。そんなときも、面倒事は遠慮などしてくれない。沙名子はよく知る社員同士の不倫現場を目撃してしまい…?

【「BOOK」データベースより】

 

四作目となる本作。

バレンタインデー前後の話で、沙名子と太陽の交際が始まり、沙名子は心情であるイーブンが揺らぐことを感じつつも、その感覚を受け入れていく様子が微笑ましかったです。

 

また前巻の最後で経理部に新しく入った麻吹美華。

強気で自分の信念を曲げない彼女が色々とやらかしてくれ、そしてその魅力を発揮します。

 

この記事では、そんな本作の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

正しいことが正解なのか?

 

新入社員である美華の教育を押し付けられた沙名子ですが、美華は納得いかなければ何でも指摘し、自分が正しいのだと譲りません。

いい加減な領収書を持ってきた太陽もその餌食になりますが、彼は全くのノーダメージ。

 

なし崩し的にではありますが、沙名子との交際が確定し、浮かれています。

一方の沙名子もなぜよりによって太陽なのだとげんなりする一方で、彼の優しさや頼もしさに安心感を覚えていました。

 

美華の評判は瞬く間に社内中に広まり、攻撃的だから『タイガー』などとあだ名までつけられてしまいます。

経理部の勇太郎はそんな彼女と衝突し、あまり口をききません。

 

真由もちょっとした外出中の買い物を咎められ、経理部全体として雰囲気はあまりよくありません。

そんな時、沙名子は人事課の志保から彼女のこれまでの経歴について話を聞きます。

 

元々ジャーナリストを目指していましたが、人間関係が原因でどの会社も数年で退社し、紹介でこの天天コーポレーションに行きついたのです。

美華は人づきあいが苦手だという自覚がある上で、我慢することを良しとしません。

 

しかし、沙名子はそんな彼女のことをそう悪くは思っていません。

何でもかんでも口にしてしまうところは問題ですが、仕事は出来るし、物事を察する能力に長けています。

 

経理部の会議で新発田部長は美華の今後について遠回りに聞きますが、沙名子はイーブンを貫き、その場が荒れることはありませんでした。

最後に出前でとったコーヒーが届き、各自に配られます。

 

すると、美華はおもむろに添えられていたシナモンスティックを齧り出し、真夕は遠慮がちにそれを指摘しますが、美華はこれが正しいのだと譲りません。

首尾一貫とした美華に、沙名子は思わず小さく笑ってしまうのでした。

 

 

 

品質低下と浮気疑惑

 

天天コーポレーションでは社員を対象とした社内表彰が行われ、製造部からは三人、品質の高い製品を作る社員を社内マイスターとして表彰していて、今年で二十周年を迎えます。

そんな表彰式を来週に控えたある日、製造部の鈴木宇宙が沙名子たちの元を訪れ、天天石鹸の品質が落ちているのだと聞き込みをしていきます。

 

表彰式当日、沙名子の元に製造部の留田と藤見アイが訪れ、手持ちが足りなくなってしまったらから現金を貸してほしいと言ってきます。

留田は社内マイスターを創設時からずっと受賞していて、アイはアルバイトしていた頃の腕を買われ、留田の推薦で今年入社した新入社員です。

 

差し出された領収書の内容に問題はなく、急ぎであればと沙名子は仮払金の出金を提案しますが、気になる点もあります。

それは、表彰式には同伴者を一名だけつけられるのですが、留田は妻ではなくアイを連れてきたという点です。

 

宇宙に事情を聞くと、石鹸の質が落ち始めた時期と、留田とアイが組み始めた時期が一致していることから、留田とアイが不倫、もしくは留田がアイに入れ込んでいるのではと疑っていました。

沙名子は、面倒事はごめんだとこの件は知らないふりをしようとしましたが、表彰式の時にアイに話しかけられ、留田と不倫はしていないと否定されます。

 

石鹸の品質が低下しているのは加齢による留田の技術の低下であり、アイの技術は留田の推薦するように確かなもので、最近のヒット商品は彼女がメインで作ったものでした。

そして、留田は今年でマイスターを辞退しようと考え、最初で最後に表彰式に参加し、妻も連れてきているのだといいます。

 

表彰式後、沙名子は留田と会う機会があり、アイと話したことを伝えます。

すると留田もそのことを認め、自分が入社した時にそうしてもらったように、アイに自分の持てる技術の全てを伝えようとしていたのでした。

 

これでめでたしめでたし。

そのはずでしたが、またしても美華が発端となってある疑惑が浮上します。

 

それは広報担当の織子の出張の申請が不正なのではというものでした。

沙名子は織子の性格をよく知っているために追及はしていませんでしたが、美華にはその理屈は通じません。

 

しかし、美華が口を挟んで大事になるのは避けたい沙名子は、自分が織子に確認するといい、美華に待ったをかけます。

そして、あり得ないと思いつつも、織子の夫が監督を務める映画のロケ地を訪れ、織子がいないかを確かめます。

 

すると、そこで沙名子は思いがけない光景を目にします。

それは、織子とキスをする勇太郎の姿でした。

 

 

バレンタインデー

 

キス現場を目撃した一件以来、勇太郎は沙名子のことを気にしていましたが、沙名子は知らないふりを突き通します。

季節はバレンタインデー。

 

秘書課のマリナから不必要と思える大量かつ高額なチョコの領収書が提出されますが、いつものこととして処理しようとします。

すると、真由が沙名子に赤い発疹が出ていることに気が付き、確認すると至るところに症状が出ていました。

 

経理部満場一致で沙名子は早退させられ、帰りに病院に寄って、念のために実家に帰ります。

一方、その話を聞きつけた太陽は彼女を心配しますが、お見舞いに行ったら迷惑かと思いとどまります。

さらに太陽の元カノの友達である樹菜から彼氏とうまくいっていないと相談を持ち掛けられ、沙名子に申し訳ないと思いつつも相談に乗ります。

 

バレンタインデー当日、午後から沙名子とデートする予定だった太陽ですが、またしてもどうしても会いたいと樹菜から連絡が入り、沙名子に待ち合わせ時間を遅らせてほしいとお願いし、ファミレスで彼女と会います。

樹菜が自分に気があると思った太陽は、対策としてそのファミレスの同僚の鎌本を呼び、彼に樹菜を任せて沙名子とのデートに向かいます。

 

二人は夕飯を終えると、太陽の家に向かうことにします。

沙名子はたくさんの義理チョコをもらい、かつ自分の予定をずらして樹菜と会っていたことに腹を立てますが、沙名子と初めて呼び捨てで呼ばれ、抱き寄せられてそんなことはあっという間に吹っ飛んでしまいます。

 

そのままキスをされ、なんだかんだ言って優しすぎる太陽に身を任せる沙名子でした。

 

 

不正を暴く

 

マリナのバレンタインデーの領収書について美華はどうしても目をつむることが出来ず、沙名子はマリナの担当を美華に変更し、ストレスから解放されます。

マリナは独身でイケメンな男に絞ってチョコをあげているのではという疑惑がありますが、沙名子には関係ありません。

 

ところが、美華から仕事が終わった後につき合ってほしいと言われ、沙名子の脳裏に嫌な予感が走ります。

美華が沙名子に一緒に行ってほしいと指定した場所は、新宿にあるキャバクラ。

 

美華は、マリナが領収書にある会社がこのキャバクラを運営していることを知り、天天コーポレーションの給料に見合わないマリナの身なりから、彼女がここで働いているのではと疑っているのです。

これは沙名子も気が付いていて、あえて見逃していましたが、美華ならばたどり着くのではないかとあえて運営会社の名前を出したのです。

 

それでも沙名子は自分が関わるかどうか悩みますが、結局は待ち合わせ場所に向かってしまいます。

するとキャバクラに到着する前に、織子の夫である皆瀬知也が映画の主演女優とホテルに入っているところを目撃してしまい、つい動画に収めてしまいます。

 

さらに待ち合わせ場所に着くと、マリナの件はすでに片がついていて、結果は黒。

美華の友人がキャバクラに入るとマリナが現れ、その動画も入手したのだといいます。

 

すでに頭が痛い沙名子ですが、美華はまだマリナを泳がせ、こうした社員を許している上層部含めて悪事を暴いてやろうと意気込んでいますが、そううまくいくのかと沙名子は半信半疑です。

確かに美華は正しいですが、マリナはこのやり方でこれまでうまくやってきたし、これからもうまくやっていけてしまうかもしれません。

 

どちらかというと、それで失敗してきたのは美華ではないか。

そう思い、美華に仕事をする目的をたずねますが、答えに迷った美華は代わりに沙名子を食事に誘います。

 

これまでなら断っていただろう誘いでしたが、空腹だったことも手伝い、沙名子はこの申し出を受け入れます。

この時点で、沙名子は美華のことを女友達として認識していました。

 

後日、新宿御苑でデートを楽しむ沙名子と太陽。

沙名子は自らの信条であるイーブンについて悩みを打ち明けると、なら二人で幸せになればいいと簡単に言われ、少し腹立たしい気持ちになります。

 

しかし、それこそが真理なような気がして、本当は悔しいだけでした。

 

 

エピローグ

 

お決まりの真由の視点から見た天天コーポレーションの様子。

真由は余裕のある態度から太陽に彼女が出来たという噂を信じ始めた一方で、相手がまさか沙名子だとは思っていないので、沙名子を諦めた太陽は見る目がないとがっかりとしています。

 

ともあれ、今日も天天コーポレーションは平和なのでした。

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。

沙名子の信条がどんどん崩れ、人間らしくなっていく様子がいつ見ても微笑ましかったです。

 

そろそろ嫉妬丸出しで太陽をたじたじにさせるところが見られるかもしれません。

非常に楽しみです。

 

これは経費で落ちません! 4 ~経理部の森若さん~ (集英社オレンジ文庫)

これは経費で落ちません! 4 ~経理部の森若さん~ (集英社オレンジ文庫)