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書評書いてます。年間100冊の紹介が目標。好きなジャンルはミステリー、恋愛、青春。

徹底ネタバレ解説!『望郷』あらすじから結末まで!

望郷 (文春文庫)

 

暗い海に青く輝いた星のような光。母と二人で暮らす幼い私の前に現れて世話を焼いてくれた“おっさん”が海に出現させた不思議な光。そして今、私は彼の心の中にあった秘密を知る…日本推理作家協会賞受賞作「海の星」他、島に生まれた人たちの島への愛と憎しみが生む謎を、名手が万感の思いを込めて描く。

【「BOOK」データベースより】

 

白綱島(しらつなじま)を舞台にした六つの短編が収録された作品です。
島に閉じ込められた人、島から飛び出した人、島に戻った人。

 

様々な人間ドラマが繰り広げられ、故郷への愛と憎しみが描かれています。
また湊さんの作品の特徴である『イヤミス』の成分は薄めなので、そういった作風が苦手な方でも安心して読める作品でもあります。

 

この記事では、そんな本作の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

みかんの花

 

白綱島市は一市での運営に限界を迎え、対岸本土の市と合併することが決まり、白綱島では閉幕式が執り行われていました。
その壇上では島出身の作家・桂木笙子が来賓として呼ばれ、故郷に対する思いを読み上げています。

 

それを客席で見守る妹。
妹は、姉に対して島を捨てた人間という思いがあり、許せずにいました。

 

きっかけはとある事件。
妹たちの家はミカン畑を三つ所有していて、時期によっては収穫の手伝いをしていました。

 

しかし、本土と島をつなぐ橋が出来た途端に、姉は畑仕事を断るようになります。
しかも国道のすぐ隣の土地に作られた『国道』と呼んでいた畑での作業の時だけ。

 

妹は当初、ボロ服を着て畑仕事をするところを見られるのが恥ずかしいのかと考えていました。
そんなある日、姉の同級生である宮下邦和が『国道』を訪れ、姉がいないことを知ると、妹にチョコレートをくれます。

 

それを姉に報告しますが、彼女はなぜか部屋に閉じこもって泣き出してしまい、邦和のことが好きで、彼にボロ姿を見られたくないのではと考えるようになりました。
しかし、その三日後、父親が交通事故で亡くなり、この話はうやむやになってしまいます。

 

しかも見知らぬ女性が同乗していて、不倫していることは明らかでした。
相手の両親からは人殺しと罵られ、姉は陰湿ないじめを受けるようになりました。

 

その後、ヒッチハイクで白綱島にやってきたという健一という青年が現れ、半月ほど住み着くことになります。
そして、姉は高校を卒業する前に健一と駆け落ちをして島を出ていったのでした。

 

島でしか生きていけない母親を妹に押し付けて。
一方で、健一を家に上げたのは母親であり、その責任を感じてか母親は姉を責めることはありませんでした。

 

閉会式は午前午後に分かれていて、午後の部ではかつて『国道』があった場所に建設されたピサの斜塔を模したオブジェで式典が行われ、出席する必要がないにも関わらず姉は参加します。
妹も成り行きで参加すると、そこで邦和と再会します。

 

邦和がクレーンは看板を付け替えるだけだと説明すると、姉は安堵のため息をつきますが、妹には会話の意味が分かりません。
帰り道、妹は姉に問い詰め、もしかしたら健一と島を出て行ったわけではないのではという疑念を口にします。

 

それに対し、姉は健一は殺されてピサの斜塔の下に埋められたのだといいます。
本当は駆け落ちではなく、健一が家の財産を漁っているところを目撃してしまい、自由を守るために包丁で刺し殺したのだと言います。

 

しかし、それでも妹は納得できずに姉をののしり、姉もそれを甘んじて受けるだけでした。
姉が帰った後、妹は大事なものが入っているからと触れることを禁じられていた仏壇の下の引き出しを開けると、そこには姉が持って行ったはずの通帳がありました。

 

その時、母親の呼ぶ声が聞こえ、慌てて向かいます。
母親と会話すると、妹は違和感を感じます。

 

姉は確かに家に寄ったはずですが、母親はあれは桂木笙子であり、姉ではないと言い張ります。
姉は、自分の罪を背負って島を出て行ったのだからと。

 

そこで妹はようやく真実に気が付きます。
つまり健一を殺したのは母親であり、それを目撃した姉が隠蔽するために邦和に助けを求め、駆け落ちを偽装したのです。

 

しかし、真実に気が付いたところで、それを明かすことはできません。
姉が自分の役割を全うするのなら、黙って送り出すのが私の役目だと言い聞かせ、妹は心の中で姉に別れを告げるのでした。

 
 


海の星


浜崎洋平の元に届いた一通の手紙。
差出人は美咲という白綱島にいた頃の高校の同級生でした。

 

妻は昔の彼女かと訝しみますが、違うと洋平は否定し、美咲との関係を説明するために昔話を始めます。

洋平の父親は、小学六年の時に失踪してしまいました。


以来、洋平は母親に連れられて毎日父親を探しに行くことが習慣になりました。

島内の電柱や掲示板には父親の写真と当日の服装の特徴などを掲示して情報提供を求めますが、結果は芳しくありません。


しかし、それでも二人は父親の死を認めず、探し続けます。

父親が失踪すると、家計を支えるために母親は働きに出ます。


洋平も何か手伝えないかと考え、思いついたのが釣りでした。

洋平はもらったお小遣いで道具を揃え、大量の小あじを釣り上げ、母親を喜ばせます。


それ以来、洋平は毎週末、釣りに出かけるようになりました。

そして、釣りを始めて三度目の週末、洋平は真野幸作と出会います。


真野は洋平に声を掛けると、洋平の釣った小あじを勝手に逃がし、代わりに自分の釣った大きなアジをくれます。

洋平のプライドは傷つきましたが、それでも家にとってはありがたいことで、複雑な心境のまま家に持ち帰ります。


それ以来、釣りをするたびに真野が声を掛けてきて、ある日から家に来るようになりました。

母親は多少の警戒をしつつも、魚のお礼を言い、そこから真野との付き合いが始まります。


洋平は、真野は母親目当てで家に来ているのだと考えていました。

しかし、そんな日々も終わりを迎えます。


ある日、真野は背広姿、白いユリの花束を持って現れ、真剣な話をします。

夫は死んだと区切りをつけて、楽に生きる方法を探したほうが良いと真野は言いますが、母親と洋平にとってそれはプロポーズも同然でした。


夫の死を信じていない母親は激高し、真野を追い返します。

その後、一人にしてほしいと母親に言われ、洋平はなんとなくいつもの堤防に向かいます。


すると、そこに真野がいて、改めてさっきのことを謝罪します。

そして、本物の海の星を見せてやると言って、バケツでくみ上げた海水を海にぶちまけます。


すると、透明な青い輝きが海面に広がり、一瞬で消えます。

洋平は不思議で仕方ありませんでしたが、真野は説明することなく姿を消しました。


しかし、話はこれだけでは終わらず、高校時代、真野美咲と出会ったことで事態は進展します。

真野という苗字は島内では珍しくないため、洋平は気が付かないまま彼女と仲良くなり、交際寸前までいきます。


ところが、彼女の焼いてきてくれたクッキーは昔真野がくれたものとそっくりで、聞くと美咲は真野の娘だということが判明します。

美咲は、真野からボランティアで通っている家があると聞いていました。


さらに真野は妻を亡くしていましたが、二年やそこらで他の人を好きになるはずないと母親目的であることを否定され、洋平も熱くなってしまい、以来、二人の関係は断たれてしまいました。

場面は現在に戻り、洋平は上京してきた美咲と再会。


当時の真実を聞かされます。

真野が洋平の家を訪れた理由。


それは父親の死を伝えるためでした。

真野は漁師をしていて、その網に父親の遺体がひっかかったのです。


しかし、警察に通報しようにも風評被害を受けることを恐れ、遺体をそのまま流し、なかったことにしたのです。

それでも罪の意識は消えず、せめてもの罪滅ぼしとして洋平の家に通っていたのです。


つまり、母親と洋平は真野を勘違いしていたのです。

また洋平は、死期の近づいた母親の言動から、実は父親が海で亡くなったことに気が付いていたのではと推測しますが、母親が亡くなった今、それを確認する方法はありません。


誤解が解けたことによって、洋平は海の星を見せてくれてありがとうという伝言を美咲に託すのでした。

そして、洋平は妻と息子の太一を連れて白綱島に行き、一緒に釣りをして、海の星を見せてあげることを決意するのでした。


作中では海の星について種明かしがされていませんでしたが、おそらく夜光虫によるものだと考えられます。

 

 

夢の国

 

平川夢都子は夫と娘の奈波と一緒に東京ドリームランドというテーマパークに遊びに来ていました。
夢都子にとって幼い頃からの念願の地だったこの場所に来て、様々な思いが去来します。

 

夢都子は白綱島にある屋敷で生まれ、祖母の考える古いしきたりに縛られ、窮屈な生活を送っていました。
祖母にとって跡取りとなる父親以外の母親、夢都子の人権などないに等しく、東京ドリームランドに行くなど夢のまた夢でした。

 

しかし、そんな生活の中にも何回かチャンスはあり、そのうちの一回が高校の修学旅行でした。
白綱島南高校に進学した夢都子は、二年時に修学旅行として毎年東京ドリームランドに行くことを知っていて、それを秘かに楽しみにしていました。

 

ところが、夢都子たちの代から行き先が変更になってしまい、思わず不満を口にしますが、隣の席に座る平川という男子の声はそれ以上に大きく、夢都子にとって印象的でした。
その後、夢都子は教師になるための道を歩み始め、大学四年生の時、教育実習として母校の白綱島南高校を訪れます。

 

そこで再会したのが、平川でした。
夢都子は成り行きから平川に送ってもらうことが度々あり、いつしか彼と一緒にいることで屋敷に帰りたくない気持ちを紛らしていることに気が付き、二人はそのまま関係を持ち、奈波を授かるのでした。

 

また平川と関係を持った直後に祖母を亡くし、夢都子は自由を手にしたはずでした。
しかし、平川の病弱な母親の面倒を見ている夢都子にとって、自由などどこにもありませんでした。

 

場面は現在に戻り、三人はオーロラ姫のアトラクションに乗ります。
それは他のアトラクションよりも数段質が劣るにも関わらず、昔から憧れていた夢都子は思わず涙します。

 

もう夢都子にとって、東京ドリームランドは叶わない夢ではないのです。
そして、誰かに縛れているという考えを捨てようと決意します。

 

辛くなったら、またこの場所に来れば良いのだから。


 

 

雲の糸

 

黒崎ヒロタカ(本名・磯貝宏高)は島を抜け出したい一心で努力し、歌手として注目されるまでになりました。
ところがある日、かつて宏高をいじめていた的場から連絡が入り、父親の経営する会社の創業五十周年記念パーティーにゲストとして来てほしいと依頼されます。

 

当然、宏高は理由をつけて断ろうとしますが、的場の会社で働く姉、参列予定の母親の名前を出され、宏高は参加せざるを得ない状況になってしまいます。
白綱島に戻ると、スターとして出迎えられる宏高ですが、それで過去のことを忘れられるわけではありません。

 

昔、母親が父親を包丁で刺し殺したことで磯貝家は迫害の対象となり、三人は肩身の狭い思いをしてきました。
そんなある日、宏高は空に浮かぶ飛行機雲を指さし、雲がロープに見えてあれにつかまれば違う世界に連れて行ってくれるのではと姉に打ち明けたことがありましたが、姉は芥川龍之介の『蜘蛛の糸』じゃないと現実的に返すのでした。

 

宏高は絵本の『蜘蛛の糸』を見てがっかりしますが、一方で蜘蛛も雲も響きは同じだからと思い込み、島から出たい一心で頑張ってきた経緯があります。
そして、記念パーティー当日。

 

宏高は的場の巧みで汚いやり方によって無理難題を押し付けられ、大勢の前で恥をさらすことになります。
帰宅後、自分を安売りしている母親に宏高は怒りをぶつけますが、逆に母親は宏高が嫌がらせを受けないために下手に出ていることが判明しますが、宏高は自分の中で消化しきれずにいると、母親の腕に自殺を試みたような跡があることに気が付きます。

 

そこで宏高は、姉と母親が人質なのではなく、自分が人質だということに気が付きます。
夕食後、理由をつけて宏高は外出すると、蜘蛛の糸のことを思い出し、ようやくの思いでつかんだ蜘蛛の糸に他の人間も昇ってきているような錯覚を覚え、気が付けば海に落ちていました。

 

気が付くと、そこは病院のベッドで、姉がお見舞いに来てくれていました。
宏高は島に戻ってきて後悔していることを打ち明けますが、姉は卑屈にならずに堂々としていればいいと彼を諭します。


もっと高く昇れば、例え石を投げてくる人が増えてもその石はあんたに当たらず、投げた本人に返っていくのだからと。

そして、姉の口から語られた父親殺害の真実。


母親は父親の暴力に耐えていましたが、父親はそのうちに宏高が浮気してできた子供だと被害妄想に憑りつかれるようになり、母親は宏高を守るために父親を殺害したのです。

これは姉と母親の秘密であり、宏高に責任を感じさせないための二人の優しさでした。


宏高は生まれてからずっと愛されてきているのだから、卑屈になる必要はないのだと。

そこでようやく宏高は考えを改め、凱旋コンサートを行う時には母親と姉を一番いい席に招待すると宣言します。


すると、ドアの向こうから母親が泣く声が聞こえますが、二人は気づかないふりをするのでした。

 

 

石の十字架

 

白綱島に巨大な台風が直撃し、千晶と娘の志穂は家の中まで浸水する中、助けを待っている間に少しでも気分を紛らわせようと千晶は昔話を始めます。
千晶の手には、ナイフで十字架の彫られた石鹸が握られています。

 

千晶は関西の港町で生まれ、父親と母親の三人で恵まれた生活を送っていました。

ところが、父親が精神を病んで会社を休むようになってから母親はイライラすることが多くなり、父親はついに会社をやめて祖母のいる白綱島に帰ることを提案します。


しかし、母親はそれに反対。

その後、父親が会社の金を横領していることが判明し、父親は自殺。


母親はショックで精神病院行き。

千晶は父方の祖母の家に引き取られる形で白綱島にやってきました。


しかし、上記の話は事実無根の噂話で、島民が楽しむために流したデマでしたが、祖母と千晶は耐えるしかありませんでした。

そんな千晶に声を掛けてくれたのが、吉本めぐみでした。


始めは見た目であまり仲良くなりたくないと判断していた千晶でしたが、めぐみといると居心地が良いことが分かり、二人は夏休みを共に過ごします。

そんなある日、めぐみの提案で二人は白綱山を探検することになり、話は隠れキリシタンのことになります。


白綱島にもかつてキリシタンがいて、観音像の石の空いているところに十字架を掘って、そこに向けて祈っていたのだといいます。

そして、めぐみはそれを探そうといい、見つかれば救ってくれるかもしれないと考えていました。


千晶は何か悩みがあるのかと聞きますが、はぐらかされてしまいます。

その後、必死に探した甲斐があって十字架の彫られた観音像は見つかり、千晶はめぐみと親友になれますようにと願うのでした。


しかしその後、めぐみが持ち物の消しゴムに十字架を彫っていることを知り、千晶は力になってあげられなかったことが悲しく、ついにその思いをぶちまけてしまいます。

すると、めぐみは悩みを打ち明けてくれましたが、二人の力だけでは解決は難しく、地域の人も巻き込んでの事態になりました。


そして、今でもそれが正しかったのか千晶には分かりません。

ここで場面は現在に戻り、二人は無事にレスキューに救出されます。


通報してくれたのは、古田さんという人で、それはめぐみの今の苗字でした。

千晶とめぐみは今でも連絡をとっていて、薄くではありますが関係は続いていました。


そして、志穂のいじめをきっかけに千晶は二人で白綱島に行くことを決め、めぐみもそれに賛成してくれました。

千晶はまだめぐみと会っていませんでしたが、志穂のことを相談したいと思っていました。


白綱島を選んだのは、めぐみがいたからだ。

救出後、志穂が見せてくれた十字架の彫られた石鹸を見て、千晶はその向こうにめぐみのことを思い浮かべていたことに気が付きます。


だからもしかしたら、かつてめぐみも消しゴムの十字架の向こうに自分を思い浮かべていたのかもしれないと思うのでした。

 

 

光の航路

 

大崎航は故郷である白綱島に戻って小学校の教師をしていますが、三浦真衣に対するいじめ問題に苦慮していました。
彼は帰宅後、教師をしていた亡き父ならなんとアドバイスをくれるだろうと思っていると、パチパチと木がはぜるような音を耳にしながら意識を失います。

 

気が付くと病院のベッドに横たわっていて、母親から家が放火されたことを知らされます。
幸い軽症で済んだ航は休養をとっていると、畑野忠彦という父親の教え子がお見舞いに訪れます。

 

彼もまた中学校教師をしていて、父親への感謝の気持ちを口にしますが、航には今でも納得のいかないことがありました。
それは、最後に行われた進水式で起こりました。

 

小学校三年の時に行われた最後の進水式。
航は父親と一緒に行くことを楽しみにしていましたが、前日になって父親の仕事の都合で一緒に行くことができなくなり、仕方なく母親と二人で参加します。

 

すると、なぜか父親がいて、しかもその隣には一人の中学生男子。
仕事とばかり思っていた航には、父親が知らない子供の肩に手を置いて船を見送る状況が理解できませんでした。

 

週が明けると、学校ではその進水式の話で持ちきりでしたが、友達に父親と一緒に行っていないことを指摘され、つい航はむきになってその友達を突き飛ばしてしまいます。
それが問題となりますが、母親が相手の両親に謝罪することで穏便に解決します。

 

ところが、父親がその話を知ると、人に手を挙げていい理由などないと航をぶちます。
航は進水式のことを問いただすことができず、父親はそのまま肝臓がんで亡くなってしまいました。

 

航がこの話を終えると、畑野は当時、父親と進水式に行っていたのは自分だったのだと告白します。
当時、ひょんなことから畑野はいじめの対象になり、肉体的にも精神的にも傷つけられていました。

 

そんな時、助けてくれたのが航の父親だったのです。
父親は畑野を進水式に誘い、あれらの船に声援を送る者がいなくても、大勢の人が祝福しているのだと話してくれます。

 

それは人間も一緒であり、畑野もまた祝福されて海に飛び出したのだから、それを沈ませるわけにはいかないと。
そして父親はいじめの原因を突き止め、体を張って畑野を助けたのでした。

 

そこで航の心境から、火事にでも遭えば解放されるのだろうかと思ってライターの火を見つめていて、それが原因で家が燃えたことがうかがえます。
しかし、畑野の話を聞いて、航は目の前の問題から逃げないことを決意します。

 

疲れて横になると、夢の中で進水式が行われ、父親が自分の肩に手を置いているところが見えます。
そして、次第に父親の姿が今の自分に入れ替わり、自分はいつの間にか三浦真衣に変わっていました。

 

進水式がなくなり、今は古びた倉庫が残る空き地となってしまっても、未来を指し示す言葉を伝えたいと、航は決意するのでした。

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。
故郷について良い思い出と悪い思い出、人それぞれ抱いているかと思いますが、それでも故郷というものは特別であり、いつまでも自分の中にあり続けるのだと考えさせられた作品でした。

 

湊さんの作品の中では心構えなく気軽に読める作品だと思いますので、未読の方はぜひチャレンジしてみてください。

 

望郷 (文春文庫)

望郷 (文春文庫)

 

 

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