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米澤穂信の文庫おすすめランキングベスト10!【初心者向け】青春からミステリーまで

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デビュー作の『氷菓』から常に最前線で活躍されてきた米澤穂信さん。
その魅力はミステリーという括りでは収まらず、様々なジャンルで人々を魅了してきました。

 

アニメや映画になった作品も多くありますので、名前だけなら聞いたことがあるという人も多いはず。
今回は、そんな今さら聞けない米澤さんの名作をランキング形式で発表したいと思います。

 

 

 

 

 

米澤穂信のプロフィール

 

※作品を早く知りたい方は読み飛ばしてください。

 

 

・名前 米澤穂信
・出身地 岐阜県
・生年月日 1978年3月
・年齢 40歳(2018年4月現在)
・最終学歴 金沢大学文学部

 

米澤さんは11歳ですでに二次創作という形で物語を書き始め、大学生の頃には『汎夢殿(はんむでん)』というネット小説サイトを運営し、自分の作品を発表していました。
現在、『汎夢殿』では米澤さんの近況などが報告されていて、当時の作品は残念ながら閲覧することが出来ません。

 

また大学時代に北村薫さんの作品に影響を受け、方向性をミステリーに定めたそうです。
初期作品では『氷菓』のようにライトノベルとミステリーを融合させたものが多く、その後、ミステリーの謎解き要素だけでなく、物語の味わいにも目配りした作品作りを心がけるようになったと話していて、それがバラエティー豊かなラインナップに繋がったのかもしれません。

 

 

第10位 春期限定いちごタルト事件

 

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

 

小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。

【「BOOK」データベースより】

 

『小市民』シリーズの記念すべき一作目。
デビュー作の『氷菓』同様、高校生の日常に潜む謎解きが中心になっていて、非常に読みやすい内容になっています。

 

小鳩くんと小佐内さんは中学三年から行動を共にするようになり、それぞれの失敗をきっかけに本性を隠したいと願い、『互恵関係』を結んで『小市民』を目指します。
ところが事あるごとに本性が見え隠れし、二人の理想とはかけ離れた高校生活が待ち受けています。

 

謎解きは些細なものが多く、肩ひじを張らずに読みたい人におすすめです。
さらにメインキャラである小鳩くんと小佐内さんの本性がスパイスとなって物語にシリアスな一面を持たせているところも魅力的です。

 

 

 

第9位 犬はどこだ

 

犬はどこだ (創元推理文庫)

犬はどこだ (創元推理文庫)

 

開業にあたり調査事務所“紺屋S&R”が想定した業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。―それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして…いったいこの事件の全体像とは?犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。新世代ミステリの旗手が新境地に挑み喝采を浴びた私立探偵小説の傑作。

【「BOOK」データベースより】

 

皮膚病が原因で仕事を辞めた紺野長一郎は、東京から故郷である谷保市に戻ると、調査事務所『紺屋S&R』を開業します。
仕事内容としては犬探しのみのつもりでしたが、最初の依頼人からは失踪した孫娘を探してほしいと言われ、二人目の依頼人からは古文書を解読してほしいと言われ、想定外のことが続きます。

 

ところが、調査を進める内に一見関係のなさそうな二つの依頼が一つの真実を導き出します。
タイトルからは想像しにくいですが、米澤さんのブラックな部分が反映された作風になっています。

 

 

第8位 インシテミル

 

インシテミル (文春文庫)

インシテミル (文春文庫)

 

「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給十一万二千円がもらえるという破格の仕事に応募した十二人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった―。いま注目の俊英が放つ新感覚ミステリー登場。

【「BOOK」データベースより】

 

2010年に藤原竜也さん主演で映画化された本作。

ある実験の被験者となり、7日間24時間監視付きで隔離生活するだけで自給11万2000円がもらえるという破格な待遇の募集がかけられ、『暗鬼館』に年齢も性別もバラバラな12人の男女が集まります。


しかし、実験の内容とは、より多くの報酬のために参加者同士で殺し合う『殺人ゲーム』でした

様々なルールで規制され、参加者を殺せばより多くの報酬を得ることが出来ますが、犯人であると指摘され、それが当たっていれば報酬は減額してしまう。


参加者たちは何もしなくても報酬をもらえることに目をつけ、暗黙の了解で誰も行動しないようにしていましたが、三日目の朝、とうとう一人目の死体が発見され、そこから『殺人ゲーム』がスタートします。

限られた条件下での心理戦は緻密に計算されていて、手に汗握ること間違いありません。

 

 

第7位 真実の10メートル手前

 

真実の10メートル手前 (創元推理文庫)

真実の10メートル手前 (創元推理文庫)

 

高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの大刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める。大刀洗はなにを考えているのか? 滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執――己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、大刀洗万智の活動記録。「綱渡りの成功例」など粒揃いの六編、第155回直木賞候補作。
【Amazon内容紹介より】

 

後述する『さよなら妖精』に登場する大刀洗万智を主人公とする『ベルーフ』シリーズ第二弾。
なぜ第二弾?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、実は2018年4月時点で第一弾である『王とサーカス』はまだ文庫化されていないのです。

 

近いうちに文庫化される予定ですので、順番通りに読みたい方はもう少しお待ち下さい。
もちろん本作から読んでも楽しめるのですが、最低限『さよなら妖精』は読んでから本作を手に取ることをおすすめします。

 

本作は表題含めた六つの短編から構成され、時期としては『さよなら妖精』から十年後、『王とサーカス』の前後を描いています。
成長して大人になった大刀洗が暴き出す真実の数々。

 

非情に見える彼女ですが、そこには自分の正義を貫き通そうという揺るぎない決意が秘められていて、終始圧倒されてしまいます。

 

 

第6位 ボトルネック

 

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)

 

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。

【「BOOK」データベースより】

 

青春×SF×ミステリーという欲張りセット。
石川県金沢市と福井県東尋坊を舞台として、パラレルワールドが本作の特徴と言えます。

 

高校一年の嵯峨野リョウは二年前に亡くなった恋人の諏訪ノゾミを弔うために彼女が死んだ東尋坊を訪れますが、母親から兄の訃報を聞き、家に戻ろうします。
しかし、誤って東尋坊の崖から転落し、本来であれば死んでいるはずでした。

 

ところが、目が覚めるとリョウは自分の住む金沢にいて、しかも自宅に戻ると、そこには存在するはずのないリョウの姉・サキがいました。
リョウはサキとの会話から、自分が生まれていない世界に飛ばされたのではと推測します。

 

リョウは自分のいた世界と似て異なるこの世界を観察し、自分のいた世界との相違を見つめる中で、自らの身に起きた出来事を考えていきます。
タイトルの意味をご存知の人はすぐにピンときたかもしれませんが、決して楽しい話ではありません

 

むしろリョウは飛ばされた世界で自分の存在意義に疑問を抱き、次第に絶望に飲み込まれていきます。
むごい仕打ちを受け続けるリョウに届いた最後のメール。

 

容赦のない米澤さんに脱帽しましいた。

 

 

第5位 氷菓

 

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

 

いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。

【「BOOK」データベースより】

 

テレビアニメでもお馴染みの米澤さんのデビュー作。
『古典部』シリーズの第一弾にあたります。

 

『省エネ主義』を掲げる高校一年の折木奉太郎ですが、姉・供恵の勧めで古典部に入部し、部室を一人で独占できると思っていました。
ところが、同じく一年の千反田えるも入部することが分かり、早くも奉太郎の望みは潰えます。

 

そこに奉太郎とは腐れ縁の福部里志も入部し、何をする部活かも分からないまま古典部の活動がスタートします。
そんなある日、えるは伯父から古典部に関わる話を聞いたことがあり、それを思い出したいのだと奉太郎に助けを求めます。

 

奉太郎の幼馴染である里志に好意を持つ伊原摩耶花も入部し、奉太郎たちは古典部の文集『氷菓』に謎の手掛かりが隠されていることを知り、かくして『氷菓』に秘められた33年前の真実に挑むことになります。

 

ライトノベル×ミステリーという組み合わせもあり、非常に読みやすい内容になっています。
一方で『氷菓』に隠された真実には気持ちの晴れない重たい心情が隠されていて、考えさせられる側面も持ち合わせています。

 

 

第4位 満願

 

満願 (新潮文庫)

満願 (新潮文庫)

 

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

【「BOOK」データベースより】

 

表題含む六つの短編から構成される本作
それぞれ登場人物の性別・年齢・境遇など異なりますが、共通して『人間の闇』が描かれています。

 

自らの願いのために、どこまでも冷酷になれる人間の本性。
それを時にあっけなく、時に美しく、時に恐ろしく描く圧倒的なまでの文章力は必見です。

 

個人的には米澤さんの作品の中でも一、二を争う名作なのですが、第一位とテイストがかぶる内容でしたので、バラエティーに富んだランキングにするようこの順位に置かせていただきました。

 

 

第3位 折れた竜骨

 

折れた竜骨 上 (創元推理文庫)

折れた竜骨 上 (創元推理文庫)

 

ロンドンから出帆し、北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナは、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。いま最も注目を集める俊英が渾身の力で放ち絶賛を浴びた、魔術と剣と謎解きの巨編!第64回日本推理作家協会賞受賞作。

【「BOOK」データベースより】

  

魔法が存在する十二世紀末のヨーロッパを舞台にしたミステリーです。
ミステリーが好きな人からすると、それはもはやミステリーではないと否定したくなるかもしれませんが、ご安心ください。

 

特殊な設定ではありますが、この物語にはしっかりと約束事があります。
そのため読者にも平等に推理をする余地を与えてくれているのです。

 

魔法や呪いが当たり前のように存在する世界で、読者の推理はそれらに打ち勝ち、真実に辿り着くことが出来るのか。
米澤さんの作品の中でも異色であり、それゆえに高い評価を受けている作品でもあります。

 

 

第2位 さよなら妖精

 

さよなら妖精 (創元推理文庫)

さよなら妖精 (創元推理文庫)

 

雨宿りをする彼女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。初期の大きな、そして力強い一歩となった、鮮やかなボーイ・ミーツ・ガール・ミステリをふたたび。書き下ろし短編「花冠の日」巻末収録。

【「BOOK」データベースより】

 

上述した『ベルーフ』シリーズの主人公・大刀洗万智の高校時代が描かれています。
といっても、本作のメインはユーゴスラビアから日本に訪れた少女・マーヤと大刀洗の同級生であり、語り部である守屋という少年です。

 

異文化に触れ、マーヤは日本に当たり前のようにある風習に疑問を抱き、守屋たちは謎解きを通じて日本の文化を改めて知り、今度は異国への憧れを募らせていきます。
しかし、マーヤの祖国・ユーゴスラビアでは紛争が絶えまなく起きていて、彼女はそこに戻ろうとします。

 

せめて自分も連れて行ってほしいと守屋はマーヤに頼みますが、その思いが叶うことはありませんでした。
そして、マーヤが帰国して数年後、守屋は残された謎を解き、悲しい真実を知ることとなります。

 

青春とは、必ずしも良い思い出だけでないということが描かれた胸をえぐられるようなストーリーです。
『ベルーフ』シリーズとは違い、まだ自分の感情のコントロールが効かない大刀洗が微笑ましく、それゆえに痛々しく描かれています。

 

 

第1位 儚い羊たちの祝宴

 

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

 

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

【「BOOK」データベースより】

 

米澤さんのブラックユーモアの金字塔ともいうべき作品です。

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル『バベルの会』。


本作は五つの短編によって構成され、その全てに『バベルの会』が関係しています。

どの短編も最初こそお嬢様らしく優雅で甘美に語られていますが、次第に嫌な予感と背筋が凍るような恐怖が漂い始め、最後に残酷な結末が待ち構えています


そして、最も注目していただきたいのが、物語の最後の一行

何てことのない文章であるはずなのに、物語を最初から最後まで読んだ時、それは読者の脳髄を冷たく痺れさせます。

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。
一口にミステリーといっても楽しむポイントは様々で、米澤さんは実に様々な角度からミステリーを描き、我々読者を楽しませてくれます。

 

今まで米澤さんの作品を読んでこなかったという人は非常にもったいないです。
この機会にぜひ米澤さんの作品を手に取り、新たな感動に浸ってはいかがでしょうか?