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徹底ネタバレ解説!『マリアビートル』伊坂幸太郎【著】

マリアビートル (角川文庫)

 

幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利き二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテイメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!

【「BOOK」データベースより】

 

 

 

読んで驚いたのですが、まさかの続きものでした。

まあ、『グラスホッパー』を読んでいなくても楽しめる内容だったのですが、何となく惜しい気がします。

 

ここの所、シリーズものの途中から読み始めるということが少なからずあるので、今後は読む前にきちんと調べてから読みたいと思います。

で、何を言いたいかというと、本作もとても面白かったです。

 

東北新幹線という限りなく限定されたスペースで、真っ当でない人間が寄ってたかった集まり、狙ったり狙われたりする。

圧倒的な展開力、そして伏線の回収の仕方に思わず唸ってしまいました。

 

伊坂さんの物語は、まさしくエンターテインメントそのものだと思います。

今回も見事にはまってしまいました。

 

ただ相変わらずというか、複数の人間の視点を頻繁に入れ替えるせいで話が複雑になっていますので、この記事では、個人的な感想も交えながら話のあらすじをまとめたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

それぞれの思惑

 

アル中の元殺し屋・木村雄一は、王子という中学生に六歳の息子・渉をデパートの屋上から突き落とされ、渉は意識不明の重体で病院に入院しています。

復讐を誓った木村は、王子が一人で東北新幹線に乗るという情報を仕入れ、殺害するために乗車しますが、逆にスタンガンで気絶させられ、しかも入院中の渉を人質にとられ、王子の言いなりになってしまいます。

 

次は腕利きの殺し屋の二人組・蜜柑と檸檬。

二人は峰岸良夫という闇社会では知らないものはいない大物から依頼を受け、誘拐された息子を救出。

 

身代金の入ったトランクと一緒に東北新幹線で送り届ける予定でしたが、あろうことかトランクを紛失。

さらに二人が目を離した隙に息子は死んでいました。

 

次は七尾というとにかくついてない殺し屋。

彼は真莉亜という女性の指示に従い、蜜柑たちの運ぶトランクを奪い、上野駅で下車する予定でした。

 

しかし、下車するタイミングで狼と呼ばれる七尾に恨みを持つ殺し屋に出くわしてしまい、新幹線は七尾を乗せて走り出してしまいます。

しかも興奮する狼に抵抗した際に誤って彼を殺害してしまい、ますます七尾の状況は不利になってしまいます。

 

こうして同じ新幹線の中でいくつも出来事が重なり、彼らを翻弄します。

この物語は、そんな彼らの巻き起こす車内での出来事を描いています。

 

 

遭遇

 

トランクを失い、峰岸の息子を殺された蜜柑と檸檬は、犯人を探すために車内を歩き回ります。

七尾は狼の死体を隠しつつ、さらにトランクを守りながら次の駅で降りないといけません。

 

王子は車内の不穏な様子に気が付き、自身の邪悪な好奇心を満たすために行動を開始します。

彼は七尾がトランクを隠す現場を目撃し、それを奪って隠します。

 

蜜柑と檸檬は大宮駅で峰岸の部下と会い、何とか息子の死を誤魔化してそのまま乗車を続けます。

しかし、怪しまれないようにと檸檬が息子の死体の手を振らせますが、その動きが明らかに不自然で、逆に怪しまれる結果となってしまいます。

 

七尾はトランクを探しますが見つけらず、大宮でも降りられませんでした。

しかも七尾たちの依頼主も蜜柑たちと同じ峰岸であり、七尾は彼の恐ろしさを知っているので、ますます必死になります。

 

また七尾はトランクの持ち主が蜜柑たちであると知り、彼らとの接触を図ります。

一方、蜜柑たちはこれまでの失態を七尾になすりつけようと考えました。

 

蜜柑が席を外す中、檸檬と七尾は対峙し情報共有しますが、かみ合わずに戦闘開始。

なんとか七尾が勝利し、気絶する檸檬を残して彼は次の手を考えます。

 

蜜柑がトイレが戻ると、檸檬が気絶しているのを見つけます。

そこで七尾を取り逃がしたことを知り、七尾が進んだ方向に向かいます。

 

しかし、七尾が巧みに仕込んだ罠にはまり、彼を取り逃がしてしまいます。

蜜柑と七尾は携帯で連絡をとり、お互いの置かれた状況を整理します。

 

その中で七尾は、狼が『ススメバチ』と呼ばれる殺し屋を狙っていて、その人物の写真を持っていることを教えると、蜜柑が確認に向かいます。

すると、写真に写っていたのはワゴン販売の女性でした。

 

そのことを七尾に伝えると、七尾もその女性と遭遇。

交戦しますが、こちらも辛勝。スズメバチを殺害します。

 

一方、檸檬は王子と木村と遭遇します。

何度も遭遇する中で二人を怪しいと判断した檸檬は、木村に対して銃を発砲。

 

王子は木村に脅されたと嘘をつき、自分があくまでも善良な中学生であるとアピールし、撃たれた木村を隠します。

それでも檸檬は王子を疑っていて、ついにはその本性に気が付きます。

 

檸檬は彼を殺害しようと考えますが、そこで七尾がミネラルウォーターに仕込んでいた毒が効き出し、意識を失ってしまいます。

王子は檸檬を木村と同じ場所に隠します。

 

一方、七尾と蜜柑は対峙し、お互いの情報を共有します。

仙台駅でトランクと息子の無事を確認する予定になっていたため、似たトランクを用意し、また七尾を息子ということにして確認に来た峰岸の用意した手先と会います。

 

途中までうまく行きかけましたが、番号を知らないとアピールするために七尾がトランクの鍵をいじったところ、なぜか開いてしまし、事態はますますややこしいことに。

峰岸本人が終点である盛岡駅に確認しに来ることになってしまいました。

 

また蜜柑はいなくなった檸檬の行方も探していて、ついに檸檬の死体と瀕死の木村を発見します。

その場にいた王子に対して実は檸檬が目印をつけていて、蜜柑は彼が信用ならない人物であることを認識。

 

殺害しようとしますが、逆に背後から来た七尾に殺害されてしまいます。

七尾にとって、王子は守るべき中学生にしか見えませんでした。

 

しかし、七尾は一刻も早く新幹線から下車しないといけません。

王子のお願いを振り切って下車しようとしますが、ここでまたしても持ち前の不幸を発動。

 

またしても降り損ねてしまいます。

観念した七尾は腹をくくり、盛岡駅まで付き合うことを決めます。

 

また、王子は車内で木村に木村の父親に電話をさせていましたが、なんとその木村の父親が母親を連れて王子の前に現れます。

 

 

 

結末

 

王子との会話から悪者の匂いを感じ取った木村の父親。

定年を過ぎているものの、夫婦で裏家業に精を出していた二人から見て、王子からは悪意が感じられました。

 

殺される寸前の王子ですが、渉を人質にとっていることでまだ心に余裕がありました。

また渉の病院に待機させていた人物との連絡が途絶えたことで渉が殺害されることが決まり、勝利を確信します。

 

しかし、実は事前に木村の父親が知り合いの殺し屋に渉のことを依頼していて、犯人は無事に死亡。

王子の目論見は外れてしまいます。

 

しかも渉の意識が回復したとのおまけつき。

新幹線は、盛岡の駅に到着しました。

 

七尾が盛岡駅で下車すると、なぜか真莉亜がいました。

実は彼女も途中から同じ新幹線に乗っていましたが、連結部分を移動できず、合流できずにいたのです。

 

去る間際、峰岸が倒れる様子が見られます。

実はスズメバチは二人一組であり、車掌もまたスズメバチで、元から峰岸殺害を狙っていたのです。

 

こうして七尾は無事にとは言えませんが、命からがら任務から下りることが出来ました。

また王子について最後の描写がありませんが、木村の父親の発言から察するに殺害されたと見てまず間違いないと思います。

 

仙台湾で見つかった身元不明の遺体がそれでしょう。

木村の両親はみじん切りにすると言っていたので、その言葉に嘘がなければそうなったのでしょう。

 

ちなみに木村は一命をとりとめて、徐々に回復しつつありました。

 

 

タイトルの意味

 

タイトルの『マリアビートル』とは、七尾、つまり天道虫(レディビートル)を表しています。

レディとはマリア様のことを示していて、天道虫は太陽に向かって飛ぶ虫、大変縁起の良いものとされています。

 

七尾は常識では考えられない不幸をため込んでいますが、それが周囲の人間を幸せにしていると真莉亜が作中で言っていて、そこからこのタイトルがとられたと推測されます。

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。

魅力的な人物があっけなさ過ぎるほどに簡単に死んでしまう点が多少不満でした。

 

あといちいち引用しているせいかやや冗長な文章になっていたので、もう少しそれが少ないとテンポが良いと感じました。

しかし、それらを差し引いても、本作が名作であることは変わりありません。

 

ぜひ一度読んでみてください。

 

マリアビートル (角川文庫)

マリアビートル (角川文庫)

 

 

 

 

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