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小説『ミスミソウ』ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

小説 ミスミソウ (双葉文庫)

 

わたしの家族は焼き殺された―。雪深い田舎町の中学に転校してきた少女・春花を待ち受けていた、あまりに切なく残酷な出来事。そして巻き起こる凄惨な復讐劇…。押切蓮介の伝説のコミック『ミスミソウ“完全版”』を、オリジナルエピソードを交えてノベライズ。カバーイラストは押切蓮介の特別描き下ろし。

【「BOOK」データベースより】

 

名前だけは知っていたけれど、内容をよく知らなかった『ミスミソウ』。

このたび映画化が決まり、ノベライズされたものを偶然発見しましたので、読んでみました。

 

正直言って、半分近く読み飛ばしてしまいました。

面白くなかったわけではなく、凄惨なシーンの数々を想起させる文章を目で追うことが辛かったからです。

 

幾度となく絶望を迎え、それでも希望はいつまでも見えてこない。

それが冒頭からラストに至るまで続きます。

 

漫画を読んだことがあるという方は良くご存じのことと思いますが、初めて本書をとるという方はくれぐれもご注意ください。

この記事では、本作の魅力についてあらすじや個人的な感想を交えて書いていきたいと思います。

 

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

登場人物

 

登場人物が多く、また小説版では特徴を掴むのがなかなか難しいため、はじめに整理したいと思います。

この記事を読み進めるにあたって参考になると幸いです。

 

 

野崎春花

 

東京から大津馬村に引っ越してきたが、よそ者であることを理由にいじめにあっている。

 

相場晄

 

春花と同じく大津馬村に引っ越してきた。春花の唯一の味方。

 

小黒妙子

 

クラスのリーダー格の少女。

 

南京子

 

春花たちの担任。情緒不安定で、ストレスを感じるとすぐに嘔吐してしまう。

 

佐山流美

 

春花が転校してくるまで、いじめの標的にされていた。今はいじめグループの一人。

 

橘吉絵

 

いじめグループの一人で、非常に暴力的。両親から虐待を受けている。

 

加藤理佐子

 

いじめに加担するも、すぐに後悔することになる。

 

三島ゆり

 

いじめに加担するも、理佐子同様にすぐに後悔することになる。

 

久賀秀利

 

いじめグループの一人。妙子に好意を持っているが、彼女の性格の変化を春花のせいにしている。

 

真宮裕明

 

いじめグループの一人。ボーガンで小動物を殺傷するのが趣味。

 

池上努

 

いじめグループの一人。自分の見た目にコンプレックスを抱いている。春花に一目惚れするも、晄と仲良くする春花に劣等感を抱き、憎むようになっていった。

 

野崎祥子

 

春花の妹。

 

野崎満雄

 

春花の父方の祖父。

 

 

 

陰湿ないじめ

 

東京から大津馬町に引っ越し、大津馬中学校に転校してきた春花は、よそ者であることを理由にクラスでいじめにあっていた。

同じくよそから転校してきた晄は春花の味方をしてくれるものの、他は誰も助けてくれない。

 

担任の南もいじめの存在を知りつつも、卒業まで事を荒立てたくないと無視を決め込む。

それどころかストレスがかかると嘔吐してしまう不安定な精神状態をからかわれ、教え子たちからいじめを受けていた。

 

春花の父は春花がいじめられていることに気が付き学校に抗議するも、南は卒業まで事を荒立てたくないと事なかれ主義。

おまけに帰り際、久賀に画鋲を仕込んだ上履きで背中を蹴られて負傷してしまう。

 

父親はこの学校は壊れていると確信し、春花に無理に学校に行く必要はないと説得した。

春花は学校を休むことにしたが、娯楽のない大津馬町において春花いじめは唯一の娯楽であり、その標的は前までいじめの標的だった流美に向かう。

 

クラスのリーダーである妙子は、標的になりたくなければ春花に学校に来るように説得しろと脅され、流美はそれに従うしかなかった。

しかし、春花は学校に行くつもりはなく、妙子たちにそれを伝えると、髪を無残に切られてしまう。

 

そこで春花への憎しみが爆発し、殺したいと思うようになった。

これが悲劇の引き金となった。

 

 

わたしの家族は焼き殺された

 

カメラが趣味の晄と撮影と称したデートに行くことになった春花。

そこで三角草(ミスミソウ)を見つけ、厳しい冬を耐え抜いた後、雪を割るようにして花を咲かせるのだと教えてくれる晄。

 

二人は手を繋ぎ、それから家路に着く。

しかし、途中で強張った表情のゆりと理佐子にすれ違い、春花たちは違和感を覚える。

 

すると、春花の家の方から黒い煙が上っているのが見え、春花は嫌な予感を振り切るように走り出す。

そして嫌な予感は的中し、春花の家は燃えていた。

 

春花が泣き叫ぶ中、燃え上がる家の中に侵入する晄。

しばらくして、黒い塊を抱えて戻ってきた。

 

それは、妹の祥子の変わり果てた姿だった。

 

 

凄惨な復讐

 

火災により両親は命を落とし、祥子はひどいやけどを負って生死の狭間をさまよっていた。

父方の祖父である満雄が駆け付け、春花と二人で暮らすことになった。

 

一方、春花の家に火をつける現場にいたのは流美、ゆり、理佐子、吉絵、久賀、真宮、池上。

火をつけたのが自分たちだとバレることを恐れる子もいたが、ほとんどがバレるはずないと楽観視していて、首謀者である流美は優越感すら覚えていた。

 

晄は空気でクラスがどこかおかしいと思ったが、違和感の正体にはまだ気が付いていなかった。

ところが、事態はさらに変化する。

 

あれだけの惨劇があったにもかかわらず、春花が学校に登校したのだ。

火事に関与した一堂に緊張が走る中、流美は春花に怯えることが我慢ならず、春花を挑発する。

 

しかし、すぐに後悔することになる。

流美を見る春花の目は鋭く、負の色に染まっていた。

 

一方、晄もようやく真相に気が付き、春花を気遣う。

しかし、春花は声を失っていた。

 

そして、ここから春花の復讐は始まる。

裏山に集まった春花、吉絵、ゆり、理佐子、流美。

 

自殺をするよう促す流美だが、校内放送で呼び出しをくらい、一度いなくなる。

後を引き継いだ吉絵は、流美を待たずに自殺させようと、灯油に手をかける。

 

そして、春花の母親がどうやって死んだのかを詳細まで伝え、しかもいい経験をさせてもらったとまで言いのけた。

そこで春花の中で何かが壊れ、まずは吉絵をパイプで殴り殺した。

 

そして、居合わせたゆり、理佐子も殺害する。

翌日、三人が失踪したことが警察の知るところとなり、物々しい雰囲気がクラスを包む。

 

それでも春花の復讐は終わらない。

一人で下校中だった久賀を包丁で襲い、重傷を負わせる。

 

久賀は何とか逃げるも古井戸に落ちてしまい、そこで失血死した。

久賀の失踪により、春花が闇討ちしていることに気が付いた真宮と池上は、狩り(ハント)と称して春花を殺害することを決意。

 

妹のお見舞いのために病院に向かう春花を追う真宮と池上。

一度は春花に向けてボーガンを放つも外してしまい、逃げられてしまう。

 

春花が逃げ込んだ先は樹林。

先に春花を見つけた池上は彼女に馬乗りになり、ようやく手に入れた彼女に酔いしれる。

 

しかしハサミで反撃され、池上は飛びのく。

それを見ていた真宮はその隙にボーガンを放つが、池上の側頭部を削り、動かなくなってしまった。

 

心配になった真宮が池上に近づくが、真宮を春花と勘違いした池上が襲い掛かってきて、それを蹴り飛ばす。ここで池上は死亡。

その間に真宮はナイフで襲われ、さらにボーガンで射貫かれ、最後は池の氷が割れて溺死してしまう。

 

一方、流美は裏山で三人の死体を発見し、春花が放火に関与した人間を殺して回っていることを知る。

彼女は妙子に憧れていて、彼女に救いを求めるも、あっさりその手を払われてしまう。

 

それがきっかけで流美の中の憎しみが急速に膨らみ、妙子を殺そうと思いつく。

 

 

 

晄の本性

 

春花の味方である晄だが、彼には隠された本性があった。

以前、母親は父親の暴力にあっていて、晄が父親をカッターで切りつけたため両親は離婚。

 

しかし、母親は暴力によってのみ父親に愛されていることを実感できていたことを知り、今度は晄が母親のために暴力をふるうようになった。

だが、そんな生活にも限界が訪れ、晄は生家を離れ、大津馬町に住む祖母の元で暮らすことになった。

 

そして、彼のこの本性がさらに悲劇へと突き進ませる。

 

 

結末

 

妙子は流美をはじめみんなを止められなかったことを後悔していた。

しかし、バスの停留所で偶然春花と出会い、彼女が妙子のことを憎んでいないと知り、赦してほしいと言う。

 

それで妙子の気持ちは軽くなり、それで終わりのはずだった。

しかし、ここでも悲劇が起きる。

 

帰り道、包丁を持った流美が襲い掛かってきて、二人は死闘を繰り広げる。

妙子は流美に怪我を負わせるも、あと一歩及ばず殺害されてしまう。

 

一方、春花の元に晄から電話がかかってきた。

春花を守ると約束してくれた晄だったが、彼の中では春花と二人で暮らすことを意味していて、満雄と祥子と三人で暮らすことを決めていた春花はこれを断る。

 

すると彼は発狂したように春花を嘘つきだと罵り、電話を切る。

彼はすでに反対する祖母に暴力を奮っていて、本性を隠せないでいた。

 

さらに場面は変わり、子供たちが失踪、さらに妙子が殺害されたことで、警察署で保護者たちから糾弾される妙子。

それが中学校時代のトラウマを呼び起こすこととなり、彼女は保護者の何人かに傷を負わせ、警察署を飛び出した。

 

しかし、除雪車に巻き込まれ、細切れになって亡くなった。

また場面は変わり、緊急集会を行うということで体育館に集められた生徒。

 

そこで火災が発生し、あっという間に体育館は燃え上がり、多くの命を奪った。

放火したのは、流美だった。

 

流美はその足で入院する祥子の元に向かう。

彼女は春花をさらに絶望させるために祥子も燃やそうとしていた。

 

しかし病室に春花が現れ、流美の首を絞める。

その間、意識不明だったはずの包帯まみれの祥子はこちらを見ていて、流美は春花の罪を糾弾する。

 

姉の罪を知った祥子は危篤状態に陥ってしまい、春花は思わず手を緩めてしまう。

その隙に流美は逃げてしまう。

 

そこに入れ替わるように晄が現れ、満雄から居場所を聞いたのだという。

緊張した場面にそぐわない能天気な晄に春花が疑問を抱いていると、看護師から満雄が誰かに殴られて意識不明であることを教えられる。

 

そこであることに気が付いた春花は、晄を問い詰めて手を見る、

そこには人を殴った跡があり、ついに晄の本性が露になる。

 

さらに逃げたはずの流美も現れ、放火当時の様子を語りかける。

激情した春花は流美に襲いかかるが、逆に包丁で右胸を刺されてしまう。

 

それに激高した晄は流美を殴り倒すが、その拍子に晄の鞄から写真が飛び出した。

それは、炎に焼かれる父親と祥子を映した写真だった。

 

実は晄は春花の家に飛び込んだ際、家族を助けることを忘れてこの写真を撮っていたのだ。

春花の中で何かが壊れ、右胸に刺さった包丁を抜いて晄目掛けて突き刺そうとするが、晄は咄嗟に流美を楯にして難を逃れる。

 

思い通りにならない春花を殴る晄。

彼は春花の親族を殺し、自分と二人で生きていけると信じていた。

 

ここは二人で前にも来た場所で、三角草が至るところにある。

春花は死を意識しながらもある方向に向かって歩き出す。

 

その間も晄は自分勝手な未来予想図を語りかけ、春花に向かってカメラを構える。

その時、春花は雪の中から真宮のボーガンを見つけると、それを晄に向かって放った。

 

カメラのレンズを通してボーガンの矢は晄の右目に到達。

立ち去る春花に手を伸ばすも、そこで晄は息絶えた。

 

復讐を終えた春花。

直接的な描写はないものの、ここで亡くなったと思われる。

 

一方、失ってしまった家族の夢から覚める満雄。

春花の姿を探すも、そこで春花も祥子も亡くなってしまったことを知る。

 

こうして復讐は終わったが、残された親たちは自分の子供たちの罪を知ることになり、さらに苦しむことが記されている。

そして、担任も卒業生もみんな死亡したため、卒業式では黙祷が捧げられた。

 

満雄は亡くなった家族のことを思い、見届ける者がいない人生を歩むことになる。

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。

これをどう映画化するのか非常に興味がありますが、その凄惨さを想像すると、しばらくは見られそうにありません。

 

漫画にしろ小説にしろ、これからこの作品を読むという方は、くれぐれも思い詰め過ぎないようにご注意ください。

 

小説 ミスミソウ (双葉文庫)

小説 ミスミソウ (双葉文庫)