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『透明カメレオン』ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

透明カメレオン (角川文庫)

 

ラジオパーソナリティの恭太郎は、素敵な声と冴えない容姿の持ち主。バー「if」に集まる仲間たちの話を面白おかしくつくり変え、リスナーに届けていた。大雨の夜、びしょ濡れの美女がバーに迷い込み、彼らは「ある殺害計画」を手伝わされることに。意図不明の指示に振り回され、一緒の時間を過ごすうち、恭太郎は彼女に心惹かれていく。「僕はこの人が大好きなのだ」。秘められた想いが胸を打つ、感涙必至のエンタメ小説。

【「BOOK」データベースより】

 

見覚えのある作者だと思い、何となく手にした本作。

調べて思い出したのですが、『向日葵の咲かない夏』の作者だったんですね。

 

とはいえ、内容をほとんど覚えていないので、あまり関係ありませんでした(笑)

僕は仕事で車に乗るので、いつもラジオにお世話になっています。

 

非常に図々しいですが、パーソナリティの方とは長年付き合ったかのような錯覚を起こすくらい身近にあるラジオ。

僕の今のお気に入りは『スカイロケットカンパニー』です。

 

そんなラジオを題材にしたということで、読んでいてとても面白かったです。

そして、緩く読んでいたからこそ、終盤の追い上げるような結末には思わず涙してしまいました。

 

ただ、少しだけ不満な点もあり、そういったところも含めて記事にしていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

登場人物

 

まず初めに、全ての内容を説明しだすと、かなりの文量になってしまうので、省略しながらあらすじを書きます。

そこで、読んだ人が混乱しないように、最初に登場人物をまとめたいと思います。

 

 

桐畑恭太郎

ラジオ番組『1upライフ』のパーソナリティ。ラジオで自分のことを偽っていて、いい声をしているのに見た目は野暮ったく、三十四歳にしてチェリーボーイ。

 

百花

水商売をしていて、お客さんのオキタさん(既婚)と結婚したいと考えている。

 

輝美ママ

バー『if』のオーナー。娘がいる。

 

石之崎

害獣害虫駆除の会社をやっている。慢性的な痔に悩んでいる。

 

重松重徳寺

『仏壇の重』の七代目店主。

 

レイカ

本名は智行。ゲイバーで働くホステス。

 

三梶恵

恭太郎の大ファン。

 

餅岡

ディレクター。恭太郎の声の魅力に気づき、パーソナリティに推してくれた人。今でも恭太郎をサポートしてくれている。

 

 

不審者の来訪

 

ここからは内容に入っていきます。

 

 

恭太郎はラジオの収録を終えると、いつもバー『if』で終電まで飲むことが習慣になっていた。

ある日、『if』に行くと、常連である百花とオーナーの輝美ママが出迎えてくれる。

 

外からドン、という音が聞こえるも、気にせず楽しみ、さらに常連の石之崎も合流する。

すると、そこに全身ずぶ濡れの若い女性が現れ、『コースター』と正気ではない様子で呟き、何もせず帰ってしまう。

 

不審に思う一同だが、百花は『殺した』と聞こえたという。

翌日、恭太郎が『if』に行くと、今度はレイカが出迎えてくれた。

 

百花、石之崎もいる中、昨日の出来事をレイカに説明する。

すると、またしても同じ女性が来店し、コースターを見せてくださいと言ってきた。

 

コースターが好きで、バーのコースターを見て回っているという彼女。

ギムレットが飲みたいという彼女に、作れると答える恭太郎。

 

すると、彼女は恭太郎の大ファンで、しかも声を発したのがレイカだと勘違いしていた。

イメージを壊したくない恭太郎はレイカと口裏を合わせ、自分は恭太郎のマネージャーということにして、彼女を楽しませる。

 

彼女の名前は三梶恵(ミカジケイ)という。

その日、恵は酔いつぶれしまうが、恭太郎はメールアドレスを交換することになった。

 

後日、恵からメールが届き、いつの間にか彼女に恋をしていた恭太郎。

しかし、そんな夢のような時も束の間。恭太郎の嘘はすぐにバレてしまった。

 

恵は怒りを露にし、騙していた責任をとるように『if』にいる面々に伝える。

ここから、恭太郎たちは恵の計画に巻き込まれることになる。

 

 

 

騙した代償

 

何の事情も聞かされず、谷中霊園に集まった恭太郎と石之崎、そして恵。

二人は恵の指示に従い、とある男を追跡することになった。

 

しかし、依頼が終わった後も今は話せないと恵はいい、目的は分からなかった。

 

 

恵に惹かれる恭太郎

 

恭太郎には同居している母、妹、その息子がいたが、里帰りしているため、今は一人で住んでいる。

すると、そこに恵が押しかけ、なぜか一緒に暮らすことになってしまう。

 

強引な彼女に、ましてや女性と付き合った経験のない恭太郎は戸惑うが、次第に彼女に惹かれていき、新婚生活のような錯覚を覚えながら奇妙な共同生活を楽しむのだった。

 

 

誘拐

 

その後、恵の父親が自殺したことが判明する。

彼女の父親は会社を経営していたが、谷中霊園で追跡した男・後藤が経営する会社に廃棄物処理を任せたところ、後藤たちは不法投棄をしていて、それが警察にバレた時に恵の父親が責任を追及され、耐えきれずに自殺したのだという。

 

だから、恵は後藤に復讐したい。

話を聞いて断ることもできず、『if』の面々はその後も彼女の計画の片棒を担ぐ。

 

しかし、復讐にしては彼女のやり方は中途半端で、恭太郎は疑問に感じていた。

すると、今度は恵が後藤たちに誘拐されてしまった。

 

恭太郎はこれまでの恵の行動から推理し、また自宅のパソコンに残された地図を頼りに、恵を助けるために『if』の面々と一緒に奥多摩の不法廃棄現場に向かう。

恭太郎の予想通り、そこには恵がいたが、どうも事情が違う様子。

 

恵を助けて問い詰めると、本当は父親が死んでいないこと、そして後藤だと思っていた人物こそが恵の父親であることが判明する。

後藤たちに復讐しようと考えていた父親を止めるために、恵は殺さないようにしながら父親に危害を加えて、復讐をやめさせようとしたのだ。

 

しかし、それも父親にバレ、こうして後藤たちの元に向かい、捕まってしまったのだという。

恵の父親も救出し逃げる一行だが、下山するルートを後藤の仲間に塞がれ、絶体絶命のピンチに立たされてしまう。

 

 

恭太郎の嘘

 

それぞれが機転をきかせて、なんとか後藤たちを撃退することができた面々。

すると、恭太郎は恵と二人きりになり、最後の嘘を明かす。

 

彼はラジオで『if』の面々のことを面白おかしく話していたが、半分は嘘なのだという。

具体的には以下の通り。

 

 

百花のイカ汁事件

百花は中学二年生の時、泥棒に対してイカを掴んで抵抗し撃退したと話していたが、本当は包丁を持っていて、泥棒を殺してしまった。

 

石之崎の死んだふり事件

乱暴な運転に腹を立てた石之崎は死んだふりをして驚かせ、これからは反省するだろうと話していたが、実際はそのドライバーは逃げる際に老婆をひき殺していた。

 

重松の友達が火事に巻き込まれなかった話

小学校時代、重松の友達の家が燃えたが、喧嘩したことが幸いして友達は自宅におらず、死ぬことはなかったと話したが、実際に燃えたのは学校で、その友達は命を失ってしまった。

 

輝美ママの娘の話

仕事に悩む娘を突き放したことで娘は自分を見つめなおすことが出来、再出発することが出来たと話していたが、実はそれがきっかけで娘は職場の寮の屋上から飛び降り、命は助かったものの、今も意識は回復していないという。

 

レイカのお母さんが探偵を雇った話

父親の不倫が探偵によって判明したが、レイカはそれが母親が仕組んだ慰謝料目当ての策略だと気が付いてしまい、しかしそれがきっかけとなって父親は反省し、仲良しとはいわないまでも三人で暮らしていると話していた。

しかし実際は、母親とレイカは家を追い出されてしまい、それから母親はレイカを恨んでいるという。

 

 

恭太郎はラジオで自分が嘘を喋ることで、嘘を本当にし、みんなを変えたかったという。

だからこそ今のみんながあるのだと。

 

そして、最後に、実は恭太郎の母、妹、甥は車の事故で亡くなっていたことが判明する。

作中では三人が生きてるかのように留守電が残っていたが、それは恭太郎が残していたもので、繰り返して聞いているだけだった。

 

また恭太郎は、三人は一ヶ月後に三人が帰ってくると話していたが、それは四十九日を終えて三人の骨が家に来るという意味だった。

それを聞いて、父親が生きているにも関わらず、死んだと嘘をついたことを後悔する恵。

 

恭太郎の作った手製のラジオから流れる音楽。

恭太郎は失ったものが戻らないことを感じ、恵はひどい嘘をついてしまったことを後悔し、ずっと泣き続けるのだった。

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。

かなりネタが細かいため、全てを書くわけにはいかず、ほとんど省略して書いてしまったため、未読の方には分からない内容になってしまったかもしれません。

 

ただ。

僕は、少しだけ不満が残りました。

 

というのも、結末が放っぽり出されていて、モヤモヤしてしまった点です。

もちろん読者にその後の想像を委ねるというのは分かります。

 

ただ、そうすると、百花の妊娠の件はいらなかったのでは? と思えて仕方ありません。

このままスルーするには重要すぎることだし、百花はその相手と結ばれる保証なんてどこにもありません。

 

感動してからしばらくして、ちょっと考えてしまいました。

ただ、だからといって、自分の思った展開の方が良かったとは思いませんでした。

 

『もしかしたら』を考えだしたらキリがないし、自分の思った通りになったところで、満足したとは限りません。

これはこれで良かったのだと、思うようになりました。

 

ここまで言ったくせにあれですが、間違いなく名作です。

ただ、好みは別れそうですので、読んだ皆さんの好みに合えばなと願っています。

 

では、ここまでお読みいただきありがとうございました

 

透明カメレオン (角川文庫)

透明カメレオン (角川文庫)