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『彼女は一人で歩くのか?』ネタバレ感想 森博嗣【著】

彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)

 

ウォーカロン。「単独歩行者」と呼ばれる、人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。

【「BOOK」データベースより】

 

 

 

講談社タイガより出版された森さんの新シリーズ。

てっきり新しい路線でくるのかと思いましたが、読んでみるとすぐに分かります。これは森さんの作品だと。

 

そして、世界観がこれまでのシリーズと繋がっており、本シリーズはその未来に該当します。

 

人類は寿命を大きく伸ばし、新たな問題が見つからなければ半永久的に生きられる。

その反面、生殖機能がうまく働かず、新たな人類の誕生ということ自体が稀になってしまい、人類は減少の一途をたどっています。

 

そして、そこに登場したのがウォーカロンという存在です。

人類が作り上げた、しかしロボットとは違う新たな存在。

 

生まれ方などを除けば生身である彼らを前に、人間は何か? という命題に迫られます。

これは本書でも引用されている『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』とも共通した命題です。

 

そんなところも踏まえながら、本書のあらすじ、魅力について書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

命を狙われた研究者

 

ハギリは、人間とウォーカロンを判別する研究をしていて、彼の元にウグイと名乗る女性が現れ、危険が迫っていると警告してきます。

訳の分からないハギリですが、突然、研究所が爆撃されます。

 

間一髪で逃れるハギリとウグイですが、これで誰かに命を狙われていることは確実になり、ウグイによって安全な場所に保護されることになります。

道中、ハギリと同様、研究によって命を狙われているアリチと合流しますが、彼は途中で毒殺されます。

 

ハギリは自分の研究がどう命を狙われることと繋がるのかを考えながら、ウグイに従って場所を変えて研究を続けることになりました。

 

 

熊の本

 

情報局長のシモダよりアリチからのメッセージを告げられます。

内容は、チカサカという動物学者に会えとのこと。

 

事情が分からないままハギリとウグイはチカサカに会い、そこで熊のイラストの書かれた本を渡されます。

博物館で何者かによって襲撃されますが、これをウグイが撃退。

 

ハギリは熊の本を読んでみると、中に内容とは関係のない記述があり、それは少女と熊に関する童謡のようなものだった。

黒い魔法、白い魔法ときて、赤い魔法で熊を撃退したというものだ。

 

訳が分からないハギリだが、そこでとある少女の画像に行き着く。

後に検証の一環でミチルという少女と出会い、画像の少女とそっくりだった。

 

 

 

ミチル、マガタ博士との出会い

 

人間とウォーカロンを判別する上で、子供でも同様に判別できるか検証するべきという意見が挙がり、子供を対象とした検証を行うことに。

その一人が、ミチルという少女だった。

 

彼女は自分がウォーカロンであると言うが、ハギリには彼女が人間に見えた。

彼女は最新型のウォーカロンだという噂もあり、それが理由とも考えられたが、本当のことは分からない。

 

その後、監視の目をすり抜けて街で一人、食事をとるハギリ。

すると、ミチルのおばあちゃんを名乗る見た目二十代の女性が現れ、熊の本のことやウグイのことなど関係者しか知らないことを次々と言ってのける。

 

正体を確かめる前にいなくなってしまった彼女。

後に彼女がマガタ博士であることが推察された。

 

 

結末

 

学会の見学会に参加したハギリとウグイ。

しかし、その帰り道、またしても襲撃にあい、ウグイが対抗するも凶弾に倒れてしまう。

 

ハギリが狙いであることは明らかで、絶対絶命のピンチだったが、ハギリはそこで熊の本を思い出し、本の少女と同じ言葉を口にする。

すると、「赤い魔法を知っているか?」という言葉に襲撃してきたウォーカロンたちは停止し、その間にハギリによって銃殺されます。

 

後の話で判明することですが、その言葉はウォーカロンの緊急停止の合図になっており、マガタ博士の手によってハギリの手に渡るように準備されていたのです。

 

情報局に戻ってシモダから明かされる真実。

ハギリが命を狙われている理由は別の研究にあること、そしてハギリが街で会った女性、それがウォーカロンの生みの親、マガタ博士を模したウォーカロンだということです。

 

事件もひと段落し、次の研究に向けて準備を始めるハギリ。

すると、シモダからチベットで行われる人類問題の国際会議に参加してほしいと依頼があり、同行するボディーガードを紹介されます。

 

その人とは、すっかり元通りになったウグイでした。

ハギリは彼女との再会を喜び、出会った頃にしたやりとりをするのでした。

 

 

人間? ウォーカロン?

 

タイトルにも通ずる疑問ですが、ハギリの会ったマガタ博士は果たしてウォーカロンなのでしょうか?

あくまでこれはシモダの推察であり、彼女は自分が人間だともウォーカロンだとも認めていません。

 

そして、もしも彼女が最新型のウォーカロンだった場合、ハギリの判別をかいくぐる可能性もあるため、人間に見えたからといってウォーカロンでないと否定することはできません。

この謎は、物語が進んでから明かされるのかもしれません。

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。

新しい物語にこれまでの出来事が重なった重厚な世界観には、胸を躍らさずにはいられませんでした。

 

森さんは、このWシリーズを十巻まで予定していると話しているため、この先が楽しみで仕方ありません。

ここで決着が付くのかもしれませんし、次の世界にまた持ち越しという可能性もあります。

 

だって、相手はあのマガタ博士ですから。

 

彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)

彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)

 

 

 

 

続編はこちら。

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