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書評書いてます。年間100冊の紹介が目標。好きなジャンルはミステリー、恋愛、青春。

辻村深月のおすすめ文庫10作品を厳選!辻村マニアがお教えします!

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「私の一番の理解者を見つけた気がした——」 

 

とある十代の読者が、辻村さんとの出会いをこう語ったそうです。
これは大袈裟ではないと、僕は思います。

 

名作はいくつもありますが、これほど読者に寄り添ってくれる作品、いや著者を僕は知りません。

若者を中心に絶大な人気を誇り、名前だけなら聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

 

ところが、辻村深月の名前は聞いたことあるけど、どんな作品があるの?

ジャンルはミステリー? 恋愛? 青春?

 

そこで、この記事では辻村さんの作品をまだ読んだことがない、もしくはいくつか読んだけれど次は何を読もう? と考えている方を想定し、僕の個人的なおすすめを書いていきます。

 この十冊を読めば、あなたも立派な辻村マニアです!

 

 

 

 

辻村深月のプロフィール

 

・名前 辻村深月(つじむらみづき)

・出身地 山梨県笛吹市

・生年月日 1980年2月29日

・年齢 38歳(2018年4月現在)

・最終学歴 千葉大学教育学部卒業

 

辻村さんは2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、デビューしました。

その後も数多くの賞に受賞し、多数の作品がドラマ化、映画化されています。

 

またすでにご結婚されていて、2018年4月現在、6歳と2歳のお子さんを育てる主婦でもあります。

それに伴ってこれまでの少年少女の思春期特有の揺れ動く心情を描いた作品だけでなく、母親目線からの作品も執筆し、作品の幅をより一層広めています。

 

 

作品同士のリンクには要注意!

 

ランキングに入る前に、一点だけ注意しておくべきことについて言及したいと思います。

それは、辻村作品では作品間で繋がりがあるということです。

 

辻村作品では、例えばAという人物が、BとCの二作品に出ているということが非常に多いのです。

スター・システム(クロスオーバー)というと分かりやすいでしょうか?

 

これがファンからは好評であり、より彼女の作品に惹かれていく要因になっているのですが、たまに話のオチにこのシステムを採用してくることがあり、そうなると初見の読者は意味が分からず、置いてけぼりを食らってしまいます。

 

そこで、ここで紹介する作品には、リンクしている作品も合わせて書いておきます。

ここに書いた作品以外を読まれる場合は、ネタバレにならない範囲で下調べすることをオススメします。

 

 

第10位『ハケンアニメ』

 

ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫)

ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫)

 

伝説の天才アニメ監督王子千晴が、9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』。プロデューサー有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品だ。同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と人気プロデューサー行城理が組む『サウンドバック 奏の石』もオンエアされる。ネットで話題のアニメーター、舞台探訪で観光の活性化を期待する公務員…。誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び、新たな事件を起こす!anan連載小説、待望の書籍化。

【「BOOK」データベースより】

 

アニメ業界で働く女性三人を主人公に置いた物語です。

想像はしていましたが、アニメ業界はいわゆる「ブラック業界」です。それも相当の。

 

しかし、それ以上に夢がある仕事なのだと、彼女たちの仕事ぶりを見て感動せずにはいられませんでした。

それぞれが仕事に対してプライドを持っているからこそぶつかり、でも作品を愛する気持ちは同じだからこそ同じゴールを目指して頑張れる。

 

アニメ好きの方にはもちろんのこと、アニメをあまり見ないという方にもおすすめです。

あなたの人生観、きっと変わるはずです。

 

あと、タイトルにある『ハケン』の意味にも注目です。

『派遣』ではなく『覇権』

 

そのクールにおいて、覇権アニメとなれるのはただ一作品。

それぞれの情熱がたどり着いた答え、ぜひ本書にて確認してみてください。

 

 

第9位『光待つ場所へ』

 

光待つ場所へ (講談社文庫)

光待つ場所へ (講談社文庫)

 

大学二年の春。清水あやめには自信があった。世界を見るには感性という武器がいる。自分にはそれがある。最初の課題で描いた燃えるような桜並木も自分以上に表現できる学生はいないと思っていた。彼の作品を見るまでは(「しあわせのこみち」)。文庫書下ろし一編を含む扉の開く瞬間を描いた、五編の短編集。

【「BOOK」データベースより】

 

辻村作品で登場した彼、彼女のその後を描く短編集

単体で読んでも良質であることは間違いありませんが、辻村作品と共に歩んだからこそ味わえる感動がここにはあります。

 

具体的に挙げると

 

・冷たい校舎の時は止まる

・ぼくのメジャースプーン

・名前探しの放課後

・凍りのくじら

・スロウハイツの神様

 

これらを事前に読むことで、この作品は辻村ファンへのご褒美へと変わります。

読み始めるには、かなりハードルが高いですが、彼女の作品に魅せられたという方は、ぜひ挑戦してみてください。

 

 

第8位『冷たい校舎の時は止まる』

 

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

 

雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう―。第31回メフィスト賞受賞作。

【「BOOK」データベースより】

 

これがデビュー作!?

誰もがその練りこまれた構成、きめ細やかな描写に驚くはずです。

 

センター試験を間近に控えた高校生八人が雪の降りしきる中、登校しますが、学校には誰もいません。

そして、何らかの力によって校舎に閉じ込められていることに気がつきます。

 

始めは担任の榊のいたずらかと思いますが、異様な雰囲気に八人はとあることに気がつきます。

それは、学園祭で自殺した生徒の名前を誰一人思い出せないということです。

 

さらに校舎に入ってから時間は止まり、時計が指し示す時間は5時53分。

これは、その生徒が自殺した時間です。

 

疑惑は次第に確信へと変わり、八人は校舎から脱出するために自殺した生徒の名前を探し始めるのですが、そこで事件が起こり...…

 

学校という馴染み深いシチュエーションで繰り広げられる緊迫感ある推理は、とても読み応えがあります。

 

 

 

第7位『ツナグ』

 

ツナグ (新潮文庫)

ツナグ (新潮文庫)

 

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。

【「BOOK」データベースより】

 

一般受けと言う意味では、一番適している作品です

辻村さんの作品を知らない人でも、十二分に楽しむことができます。

 

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれる使者『ツナグ』

 

高校生の歩美は祖母から『ツナグ』を継承する途中の見習いであり、様々な人たちの依頼を通して、『ツナグ』の責務の重要性を認識していきます。

そして、『ツナグ』になるとはどういうことか、歩美は考えることになります。

 

それぞれの思いを抱え、死者と再会する人たち。

生と死がテーマにも関わらずその文章は温かく、新たな死生観を描いた良作です。

 

 

第6位『名前探しの放課後』

 

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)

名前探しの放課後(上) (講談社文庫)

 

依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ一つの記憶。いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」二人はその「誰か」を探し始める。

【「BOOK」データベースより】

 

学園ミステリーです。

SF要素も入り、これまでの辻村さんの作品の良い要素を集めた、この時点での集大成とも言える作品

 

藤見高校一年の依田いつかはある日、三ヶ月前に時間が巻き戻っていることに気がつきます。

それも三ヶ月後の記憶を保持したまま

 

その記憶が確かであれば、これから同級生が一人自殺することになるはずですか、なぜかその生徒のことが思い出せません。

思い出せるのは、その生徒が終業式の日に自殺するということだけ。

 

いつかは信じてもらえないと思いつつも、唯一同じ中学から藤見高校に進学した坂崎あすなに事情を説明すると、彼女はいつかの真剣な様子に自殺の阻止に協力してくれるといいます。

さらにいつかの友人である長尾秀人、秀人の彼女の椿、秀人の友人の天木敬も加わり、五人は自殺しそうな生徒としていじめを受けている河野基と行動を共にし、Xデーを乗り切ろうと考えます。

 

ところが、この前提条件には大きな嘘が含まれていて、それを知った時の衝撃といったらありません。

まさしく辻村さんの王道ともいうべき作品になっています。

 

とても気に入っている作品なんですが、なぜこの順位かというと、「ぼくのメジャースプーン」は読んでおかないと、結末に納得がいかないから。

ただその一点です。

 

その他は文句なしです。

悪いことは言わないので、「ぼくのメジャースプーン」を読むまでのは、大事に寝かしておいてください。

 

あと「凍りのくじら」も読んでいると、思わずにやっとしてしまいます。

理帆子さん、他作品に出張しすぎです。

 

 

第5位『ぼくのメジャースプーン』

 

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

 

「書き終えるまで決めていたのはただ一つ、<逃げない>ということ。――私の自信作です」――辻村深月

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった――。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に1度だけ。これはぼくの闘いだ。

【Amazon 内容紹介より】

 

辻村作品ではファンタジー要素が含まれることがよくありますが、この作品がそれにあたります。

簡単に言うと、「AしなければBになる」という条件を提示し、AもしくはBのどちらかを相手に強制するという能力を持った小学生の「ぼく」が主人公の物語です。

 

小学生が主人公だからほのぼのしてるのだろう、と高を括っていると、その残酷な内容、やりきれない感情に驚くことになります。

学校で飼育していたうさぎが殺される事件、ショックで心を閉ざしてしまう「ぼく」の幼なじみの「ふみちゃん」。

 

「ぼく」は能力を使って、うさぎを殺した大学生の市川雄太に罰を与えることを考え、読者は「ぼく」と一緒に罪と罰について考えていくことになります。

何が市川にとって最大の罰になるのか、そもそも罰を下すべきなのか

 

小学生とは思えない、冷たい感情と向き合いながら、「ぼく」の出した答え。

決して明るい話ではないけれど、最後に訪れるかすかな光に安堵を覚える、そんな話です。

 

【読んでなくても問題なし。読んでるとより楽しい】

・子どもたちは夜と遊ぶ

・凍りのくじら

 

 

第4位『子どもたちは夜と遊ぶ』

 

子どもたちは夜と遊ぶ (上) (講談社文庫)

子どもたちは夜と遊ぶ (上) (講談社文庫)

 

大学受験間近の高校三年生が行方不明になった。家出か事件か。世間が騒ぐ中、木村浅葱だけはその真相を知っていた。「『i』はとてもうまくやった。さあ、次は、俺の番―」。姿の見えない『i』に会うために、ゲームを始める浅葱。孤独の闇に支配された子どもたちが招く事件は、さらなる悲劇を呼んでいく。

【「BOOK」データベースより】

 

上下巻構成で、かなりの分量です。

交換留学をかけたコンテストに突如現れた天才『i』。

 

彼は生き別れた木村浅葱の兄・藍であることを仄めかし、再会するために殺人ゲームを提案します。

浅葱は兄に会うためにその提案に乗りますが、次第に精神はすり減り、さらには殺人の魔の手が友人にまで及んでしまいます。

 

一方、同じ研究室の狐塚孝太は秋山教授と事件を考えていく内に真相に迫り、浅葱が犯人であることを突き止めていきます。

日常はもろくも崩れ、凄惨な殺人の果てにどこに行き着くのか

 

叙述トリックによる意外な真相、人間の闇に怯え、でも最後に光が差し込む。

辻村さんの作品は、暗いテイストのものも多いですが、バッドエンドで終わるということはあまりありません。

 

辛いことがあったけど、それがふと軽くなるような幸福が降り注ぐラスト。

それが本書には詰まっています。

 

 

 

第3位『島はぼくらと』

 

島はぼくらと (講談社文庫)

島はぼくらと (講談社文庫)

 

瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の四人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、四人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。

【「BOOK」データベースより】

 

最近は大人の世界を描くことが多かった中で、久しぶりの高校生が主人公の話

やっぱり安定感が違うというか、初期の作品にあった瑞々しい思春期の心がここでも鮮やかに描かれていて、微笑ましく、そして羨ましく感じます。

 

瀬戸内海に浮かぶ小さな島・冴島。

そこで暮らす四人の高校生のもとに『幻の脚本』を求めてやってきた男が現れ、それがきっかけとなって物語は進行していきます。

 

地方の過疎化という大きな社会問題を題材にしていることから、決して甘い話だけではありません。

幸せを勝ち取るために、誰もが必死で生きているのだと考えさせられるシーンも多々ありました。

 

そして、なんといっても後半からの追い上げは圧巻です。

ページを捲る手が止まらず、最後は涙せずにはいられませんでした。

 

順位も非常に迷いましたが、「スロウハイツの神様」を読んでからだと、二倍おいしいという点で3位に位置付けしました。

 

 

第2位『凍りのくじら』

 

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

 

藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う一人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき―。

【「BOOK」データベースより】

 

辻村さんの大好きな「ドラえもん」をモチーフにした作品

彼? の秘密道具になぞらえた話に、誰もが幼心を蘇らせるはずです。

 

芹沢理帆子は頭が良く、それでいてノリの良い付き合い方もできる器用な高校生ですが、別所あきらとの出会いを通じてこれまで見せたことのないような一面も覗かせていきます。

一方で、理帆子の世間を舐めていた性格が災いを招き、人の命のかかった大騒動を巻き起こしてしまいます。

 

しかし、それを救ってくれたのがドラえもんでした。

胸の内にある淀みが消え、見えている景色が鮮やかになるのを感じました。

 

大袈裟ではなく、人生を変える可能性を秘めた名作です。

ちなみに、他作品とのリンクは気にしなくて大丈夫です。

 

 

第1位『スロウハイツの神様』

 

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

 

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ―あの事件から十年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。

【「BOOK」データベースより】

 

文句なしの第1位です。

僕の人生を変えたと言っても良い作品です。

 

かつて手塚治虫、藤子不二雄ら才能ある漫画家が集まったトキワ荘をモチーフに、クリエイターの卵たちが共同生活を送りながら、夢に向かって進んでいくという話です。

クリエイターというだけあって、みんな一癖も二癖もあり、そしてとても魅力的です。

 

夢を追うことの辛さ、そして楽しさ。

作品がどれだけ人の心を動かせるのか。

 

小説に限らず、エンターテインメントの可能性が本書にはあります。

何か夢を持っている方には、ぜひおすすめです。

 

「凍りのくじら」とリンクしている箇所もありますが、こちらから先に読んでも問題ありません。

気付いて読み直すと、さらに楽しいです。

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。

一番の理解者を見つけた、と読者に言わしめるほど、僕らと非常に距離感の近い文章を紡ぐ辻村さん。

 

一冊読めば、あなたもその魅力に気が付くはずです。十冊読めば、もはやその虜です。

共に辻村ワールドを旅してみませんか?