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第一期完結!『黒猫の回帰あるいは千夜航路』ネタバレ感想

黒猫の回帰あるいは千夜航路 (ハヤカワ文庫JA)

 

パリで大規模な交通事故が発生。深夜、そのニュースを目にした付き人は、恩師からの思想継承のため渡仏した黒猫の安否が気になっていた。一年前、イタリアで二人の距離が縮まったと感じたのは、勘違いだったのか…落ち着かない気持ちのまま朝を迎えた付き人は、大学院の後輩・戸影からペルシャ美学の教授が失踪したと連絡を受ける。黒猫のことが気になりつつ、付き人は謎を追うが―シリーズ第6弾となる連作短篇集。

【「BOOK」データベースより】

 

 

 

『黒猫』シリーズ第6弾です。

恋愛に、芸術に、思考。これほど僕の好みを網羅した作品は他にありません。

 

 

 

 

黒猫が日本に帰ってきた

 

ラテスト教授の思想継承のために、フランス・パリに渡っていた黒猫。

そんな彼が、ついに日本に戻ってきます。

 

イタリアで距離を縮めた黒猫と付き人。

以前の立ち位置に戻ったはずなのに、心の距離が近いせいで、逆にぎこちなくなってしまう。

 

相手を大事に思い合う二人だからこその距離感に、純粋に微笑んでしまいます。

でも、黒猫は彼女への気持ちをはっきりと認識し、付き人は研究者として着実に成長し、あらゆる意味で彼のパートナーとしてふさわしい女性に成長しつつあります。

 

タイトルに『回帰』とありますが、意味は文字通りで、一作目『遊歩』への回帰がテーマになっています。

大矢博子さんの解説に詳しく書かれていて、六つの短編からなる構成、各短編も『遊歩』を想起させます。

 

 

黒猫と付き人の関係に決着が!?

 

前作の『約束』でその行く末は決まっていたようなものですが、この二人が考える過程を経たからこそ、その結論に意味が出てくるのです。

そして二人らしいというか、分かりやすい決着とはまた違います。その先も残されています。

 

ぜひこの作品で、二人の行く末を見届けてください。

 

 

 

第一期完結! そして

 

第一期、という言葉から分かる通り、第二期がこれから始まります。

様々な思想、ミステリが題材になってきた中で、彼らも含めて様々な恋愛要素が常に含まれていました。

 

関係に進展が見られたからこそ、紡ぐ物語がそこにはあるのでしょうか?

今から楽しみで仕方ありません。

 

 

最後に

 

ずっと待ち望んできた答えが得られる本作。

これまで読み重ねてきた時間があるからこそ、読者も彼らと同じ気持ちを共有することが出来ます。

 

作中でも、ゆっくり読むと、作品が違って見えてくると幼少期の付き人は言っていて、まさにその通りだと思いました。

通勤・通学途中の読書も良いですが、せっかくの名作なので、お茶でも淹れてゆっくり読むのはいかがでしょうか?

 

本作の魅力を、余すことなく体験してください。

 

 

 

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