百本文庫~夜更かしのお供に~

つい夜更かししてしまう本を紹介しています。

徹底ネタバレ解説!『アイネクライネナハトムジーク』あらすじから結末まで!

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)


今回ご紹介する本は、伊坂幸太郎さんの「アイネクライネナハトムジーク」です。


伊坂幸太郎さんといえば、もはやそのお名前を知らない人はいないくらい超有名な小説家ですが、僕はあまり読んだことがありませんでした。
好き嫌いというより、有名すぎて逆に手に取るきっかけがなかったというか。


しかし先日、たまたま本屋さんで本書を見つけ、不思議と惹き付けられるものがあったので、すぐに買って読んでみました。
すると、これがめちゃめちゃ面白い!


脇役にいたるまでキャラクターが作り込まれていて、話のテンポが非常に軽く、あっという間に読めてしまう。
しかし、さらりと大事なことを次々とぶちこんでくるので、不意に心が温まり、また読み返してみたいと思う良作でした。



そして!


短編集6編から構成されていましたが、過去から現在にかけて様々な人物がリンクしています。
しかし、明言されているものもあれば、注意深く読まないと分からない関係もあります。


そこで今回は、そんな登場人物を整理・解説したいと思います。
頭からネタバレ全開なので、未読の方は、ぜひ一度読んでからまた戻ってきていただけると幸いです。


相関図を載せるのではなく解説なので、視覚的に分かりやすいものを求めている方は、『アイネクライネナハトムジーク 相関図』で検索してみてください。
非常に丁寧で分かりやすい相関図が見つかると思います。



ということで、まずはあらすじを。

ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL...。情けないけど、愛おしい。そんな登場人物たちが作り出す、数々のサプライズ。
【「BOOK」データベースより】

以下、ネタバレ。未読の方はご注意ください。



アイネクライネ


ドイツ語で「小さな」という意味のタイトルです。
この話は途中で時間が前後しないので、混乱せずスラスラと読むことが出来ます。


登場人物


・佐藤(27)

この短編の主人公的人物。マーケットリサーチを行う会社勤務。奥さんが娘を連れて家を出ていってしまったことが原因で会社のデータを消失させてしまった藤間の責任を肩代わりし、夜の街頭でアンケートをとることになった。

そこで同い年の女性と知り合い、その後、道路工事の係員のバイトをしている彼女と再会。


・藤間(39)

佐藤の会社の先輩。沈着冷静、仕事は堅実で、システム管理者を任されている。文中では三十代後半とだけ書かれていますが、後に正確な年齢が判明します。

しかし、妻と娘が家を出てしまったことがショックで会社を休むが、その後、復帰。ウィンストン小野の試合に感動し、サインが欲しいと発言。


・課長

佐藤、藤間の上司。



・アンケートに答えてくれた女性(27)

アンケート欄の年齢の記載から佐藤と同い年。仕事を探していて、道路工事の係員のバイト中に佐藤と再会する。


・織田一真(27)

佐藤の大学の同級生。21歳で由美と結婚するために大学を中退、娘の美緒と息子の一樹がいる。二枚目だが非常に適当で、謎の英語を好んで使う。

変なやつだが、悪いやつではない。21歳の時にバイトしていた居酒屋がチェーン店を出すことになり、そこの店長をしている。


・織田由美(27)

佐藤の大学の同級生。旧姓は加藤由美。同級生の中でかなり人気があった。子供二人を保育園に通わせ、自身も働いている。


・織田美緒(6)

一真、由美の娘。


・織田一樹(1)

一真、由美の息子。この時点では年齢のみで名前は明かされていないが、後に判明する。


・相沢めぐみ(22)

佐藤の会社の後輩。痩身で背が高く、古株のような貫禄がある。


・藤間妻

娘を連れて実家に帰ってしまう。


・藤間亜美子(1)

藤間の娘。名前、年齢は後に判明する。


・ウィンストン小野(27)

ボクサー。ヘビー級のタイトルマッチに臨み、見事勝利。世界王者になる。



ライトヘビー


「アイネクライネ」と同じ時間軸の話。



登場人物


・板橋香澄(29)

旧姓は小野香澄。既婚。美奈子が働く美容院に2年前から通いだし、美奈子が担当することが多い。都内でOLをしている。

2つ下に弟の学がいる。親が離婚していないため、学の母親代わりでもある。美奈子と学がくっつくきっかけを作った張本人。


・美奈子(27)

美容師。香澄をよく担当する。由美の女子校時代の同級生。香澄の勧めで学と電話する仲に。

学がヘビー級の世界王者になると、学がボクサーであることを香澄から教えられる。後に学から告白を受けて付き合う。


・ウィンストン小野(小野学、27)

香澄の弟。ヘビー級の世界王者になったことで気持ちが固まり、後に美奈子に告白して付き合うことになる。


・山田寛子

美奈子が十代の頃、ヘビィメタバンドのライブで美奈子と知り合い、今でも親交がある。化粧品メーカーに勤務。煙草が苦手。

一ヶ月前に彼氏と別れた。斎藤さんの歌をきっかけに、仕事に打ち込むことにした。


・日高亮一

美奈子が十代の頃、ヘビィメタバンドのライブで美奈子と知り合い、今でも親交がある。1年半前に転職、彼女に別れを切り出そうと考えている。斎藤さんの歌からは、どちらの結末に転がったかは分からない。


・斎藤さん

場所を転々としながら、1回100円で客の気持ちに合った曲を流してくれる。しかし、全て斎藤なにがしの曲であることから、斎藤さんと呼ばれている。

ミュージシャンの斎藤和義さんの依頼で短編「アイネクライネ」を書き、この短編はその付録用に書き下ろされた。


ドクメンタ


「アイネクライネ」の半年後がベース。途中で過去に遡る。
タイトルは、五年に一度、ドイツで開催されている現代美術の展覧会のことで、本短編の五年に一度の免許証更新にかかっている。



登場人物


・藤間(39)

プライベートでは大雑把な性格が災いして、奥さんが娘を連れて実家に帰ってしまうが、この時点では離婚はしていない。血液型はAB型。29歳で結婚。

十年前、免許センターで女性と知り合い、それ以来、五年に一度、会っている。今回の再会で、女性に通帳を記入するよう忠告される。


・女性(35)

十年前、免許センターで藤間と知り合う。藤間と誕生日が一日違い。この時点で息子は生まれて間もない。平日に休みがとれないという発言から、おそらく働いている。

五年前の再会で、大雑把な性格が原因で夫と別居中ということが判明。しかし、今回の再会で、離婚の危機を免れたことを報告。


・女性の息子(10)

浮気=皆殺しと母親に教えられた子。


・課長

妻と娘がディズニー好き。


・佐藤

「アイネクライネ」で藤間がウィンストン小野のサインが欲しいことを知り、この話の中でその言葉通り、サインを渡す。入手方法は後で解説。


「ルックスライク」


仙台が舞台。「アイネクライネ」の十年後がベース。



登場人物


・深堀先生

和人、美緒の高校の英語の先生。三十代後半。胸が小さい。旧姓は笹塚朱美。笹塚耳鼻咽喉科の医者の次女。大学は教育学部。

大学生の時、ファミレスのバイト中に面倒な客に絡まれているところを邦彦に助けてもらい、付き合うことに。しかし破局し、後に別の男性と結婚。

美緒が駐輪場のシール剥がしの犯人に詰め寄られている時、二十年前に邦彦が助けてくれた方法で美緒を助ける。和人を見て、邦彦が父親であることを確信していて、今度は驚かす側になれたことに喜んでいる。

そして、邦彦が自分に言った通り、胸の小さい人と結婚したことにも喜んでいた。というか、見直した? 邦彦、和人がいる前で、奥さん(母親)に対するこの言動。鬼畜である。


・久留米和人(16)

高校一年生。ハンドボール部に入るも、すぐに辞めてしまう。平凡な父親が嫌い。美緒から駐輪場のシールを剥がした犯人を一緒に捕まえてほしいと依頼される。他の同級生と同様、美緒のことが気になっている。


・和人の母

二十代半ばで邦彦と出合い、結婚。邦彦の仕事の関係で地方都市(仙台)に移住。遠距離恋愛だった。結婚してすぐ和人が生まれる。胸が小さい。今回の話の間接的かつ最大の被害者。


・織田美緒(16)

母親の由美そっくりに成長。こちらもとても人気がある。駐輪場のシールが剥がされていたことから、犯人を一緒に捕まえてほしいと和人に依頼。

和人は父親の邦彦が嫌いだが、美緒は邦彦のことを気に入った様子。


・水沼

和人、美緒の同級生。耳が隠れ、肩に届かないくらいの髪をしている。ノリが軽いが、悪いやつではない。


・藤間亜美子(16)

例の藤間の娘。美緒の親友。藤間は東京で、母親と二人暮らし。


・久留米邦彦

二十年前、バイト中の朱美を助けて、この時の話法が後々まで語り継がれることになる。朱美の二つ上、同じ大学の工学部。

朱美と付き合うことになるが、後に破局。小さい胸が好きであると断言していて、その通り、胸の小さい女性と結婚した。


メイクアップ

登場人物


・窪田結衣(28)

化粧品メーカー勤務。十年前、栃木の進学校に在学中、亜季にいじめられた経験がある。二年前に結婚。旧姓は高木結衣。後に高校時代に気になっていた野球部の同級生と結婚したことが判明。


・佳織(28)

結衣の同期。彼氏がいる。


・山田寛子

三十代半ば。結衣の上司。「ライトヘビー」で仕事に打ち込むことを決め、現在は広報部の部長補佐だが、実質部を取り仕切っている。


・照川

四十手前。大手広告会社のチーフディレクター。


・小久保亜季

照川と同じ会社の営業。昔、結衣をいじめていた。現在、結衣と再会したが、結衣とは気がついていない。辻井といい関係になるが、実は既婚者という噂もある。結末は明らかになっていない。

ちなみに①プレゼンに成功する ②辻井とうまくいく について、一勝一敗になったという記載があるため、悪いことばかりではない。


・寺内

合コン相手。結衣に気がある?


・辻井

合コン相手。デザイナーの子に気があったが、亜季に彼氏がいると嘘をつかれ、亜季とライブに行くことに。しかし、彼は既婚者との密告があり。

亜季とのその後は不明。もし亜季のプレゼンがうまくいっていなければ、亜季とうまくいっていると思われる。


・デザイナーの女性

彼氏がいるが、別れ話を持ちかけられている。「ライトヘビー」で日高亮一が彼女に別れ話を切り出そうと考えているため、彼氏は日高亮一か?


・田中

結衣のする化粧品メーカーの宣伝担当の役員。


・女性

二十代前半。辻井のことを津川といい、関西にいた時に付き合ったら既婚者だと判明。結衣たちに忠告した。


ナハトムジーク


「アイネクライネ」の十九年後。小野学のボクサーとしての人生をテレビで取り上げる話。



登場人物


・小野学(46)

十九年前、ヘビー級のチャンピオンになった。また、その時に苛められていた中学生を助ける。九年前、オーエン・スコットと戦うが、判定負け?


・小野美奈子(46)

小野学と結婚し、小学生の息子がいる。


・漫才師

和人、美緒の同級生。音痴で合唱コンクールでは先生に歌うなと言われていたが、和人の画策で合唱の前に漫才をやることになり、それが漫才師になるきっかけになった。


・美奈子の息子

小学生。


・板橋香澄(48)

学の姉。特になし。


・織田由美(46)

特になし。


・織田一真(46)

九年前、ウィンストン小野の再戦を、美緒と亜美子と一緒に見に行った。また美緒が東京でトラブルに逢ったとき、邦彦と同じ方法で助けた。


・佐藤(46)

十九年前、街頭アンケートで知り合った女性と付き合い始める。今も続いているかは不明。藤間のために、小野からサインをもらう。


・姉

弟の姉。十九年前、女子高生だった。


・弟

十九年前、中学生の時に苛められているところを佐藤たちに助けられた。その時に小野と知り合い、彼に憧れるようになった。

小学校低学年から耳が悪くなる。九年前、小野の試合にラウンドボーイとして登場。現在は、国外で活躍するモデル。


・織田美緒(25)

九年前、亜美子と一緒に東京旅行に。そこでもトラブルに逢うが、一真が邦彦と同じ方法で助けてくれる。

またこの年、一真と亜美子と一緒にウィンストン小野の再戦を見に行った。


・藤間亜美子(25)

九年前、美緒と一緒に東京旅行に。十九年前、ウィンストン小野が負けた試合を、藤間と観に行っていた。

九年前、一真と美緒と一緒にウィンストン小野の再戦を見に行った。


・織田一樹(20)

九年前、少年野球をしていた。



・オーエン・スコット(34)

九年前、ウィンストン小野と戦い、判定勝ち?


・松沢ケリー

三年前、肝臓癌で亡くなる。


・藤間妻

彼女の話から、結衣と野球部の同級生が結婚したことが分かった。




かなり雑なまとめですが、こんな感じです。


間違っている箇所、もっとリンクしている箇所もあると思うので、もし気がつかれた方は、メッセージいただけると助かります。


とりあえず、この話は面白い!




伊坂さんの作品が好きだという方は、こちらもどうぞ。
www.hyakuhon.com
www.hyakuhon.com
www.hyakuhon.com
www.hyakuhon.com