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『秋期限定栗きんとん事件(上)』ネタバレ感想!あらすじから結末まで!

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

 

 

 

 今回ご紹介する本は、米澤穂信さんの「秋期限定栗きんとん事件(上)」です。

最初は上下巻でまとめて記事にしようと思いましたが、少し詳しく書きたくなりましたので、まずは上巻からご紹介したいと思います。

 

前作で関係を解消してしまった小鳩君と小山内さん。

しかし、何の因果か、とある事件を通してまた近づいてしまう二人。

 

ということで、まずはあらすじを。

 

ある日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月に揃って初詣。ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。——それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい……シリーズ第三弾。

【「BOOK」データベースより】

 

今作では小鳩君以外の人物、新聞部一年の瓜野の視点で話が進みますので、今までの作品と印象がかなり違います。

この瓜野の思春期ならではのプライドの高い男で、あちこちに不平不満を常にまき散らしています。

 

そのせいか読んでいて不快になることがままありますが、ちらちら小佐内さんの姿が出てくるごとに事件の匂いがして、徐々に緊張感を増していきます。

 

そして。

 

小鳩君に彼女が出来ます。

小佐内さんに彼氏が出来ます。

 

出来るのですが、この二人はやっぱり一般的な感覚とはかけ離れた、人には理解されがたい感性の持ち主だということが、改めて分かります。

だからこそ、この二人の組み合わせが自分たちも、そして周りにとっても一番幸せな気がするんだけどなあ・・・

 

小佐内さんが暗躍していることを察知した小鳩君は、彼女が危険な目に合わないように立ち回るいつものパターン。

次巻に向けて助走のパートになりますが、日常生活での小鳩君の異常性が見えてくる話なので、そこを楽しんでもらえればと思います。

 

以下、ネタバレ。未読の方はご注意を!!

 

 

 

 

第一章 おもいがけない秋

 

 

クラスメートの仲丸十希子から突然告白され、付き合うことになった小鳩君。

小市民たるもの、という理由で。

 

堂島が部長を務める新聞部では、一年の瓜野が意味のある新聞にするべきだと学校外での事件(この間の誘拐事件など)を取り上げたいと意気込んでいた。

しかしそこに小佐内さんが現れ、堂島に耳打ちをする。後に分かるが、例の誘拐事件を取り上げないでほしいという根回しだ。

 

これがきっかけで小佐内さんに興味を持った瓜野が彼女に声を掛け、後に付き合うことになった。

 

 

 

第二章 あたたかな冬

 

 

新聞部で動きが見られた。

瓜野と同じ一年生の五日市がコラムを新設したいと申し出て、これが承認された。(後に小佐内さんによる根回しだと判明する)

これにより瓜野にもコラムを書くチャンスが到来し、瓜野は市内で起きた連続放火を記事にすることにした。

 

瓜野は現場を見るうちに、この放火には法則性があることに気が付いた。

一方で堂島から小佐内さんが新聞部に干渉してくることを教えられた小鳩君も、事件に首を突っ込むことにった。

 

途中で小鳩君の仲丸さんそっちのけの推理パートがあるが、本当に楽しそうだ。

そして、小佐内さんだったら分かってくれるのに、みたいな心境が暗に語られていて、なんだかんだいって未練があるところが逆に良かった。

 

 

第三章 とまどう春

 

 

瓜野はコラムの中で連続放火を扱い、次の放火予測を載せた。

するとその予想が見事的中し、『月報船戸』は注目を浴びることに。

 

しかし、生活指導の先生からは新聞部に放火魔がいるのでは?と疑われてしまい、堂島は疑いを晴らすためにも、次号でネタ晴らしするように瓜野に伝える。

しかし、瓜野は生活指導の先生が異動になったことを理由に言いつけに背き、まだネタ晴らしをせずにこのネタを引っ張ることにした。

 

堂島はさすがに瓜野の勝手な行動に釘を刺すと、仕方なく瓜野はこの連続放火は『防災計画』にある分署リストの逆順に起こっていることを明かし、さらに自分だけが知っているさらなる事実があることも告げた。

 

堂島はこの瓜野の判断が正しかったと訂正した。

事実を明かしてしまえば模倣犯が出る可能性があり、本物と見分けがつかなくなってしまう。しかし、この事実を新聞部だけが知っていれば、少なくとも新聞部は放火魔と模倣犯を見分けることができる。

 

そして、判断を間違えてしまったこと、三年で受験があることを理由に、堂島は新聞部を辞め、瓜野に部長を任せると言った。

 

こうしてようやく瓜野が望む新聞部の形となり、瓜野はその意気込みを小佐内さんに話し認めてもらおうとするが、小佐内さんの反応は思ったものと違った。

 

納得のいかない瓜野は勢いで小佐内さんにキスをする。

しかし、レシートで防がれて気まずくなるが、小佐内さんは別に怒ってはおらず、笑っていた。

 

一方、小鳩君は小佐内さんと瓜野の関係を知るために、前に探し物で縁のあった吉口に堂島と一緒に会いに行くと、二人が付き合っていることを教えられる。

そして聞いてもいないのに、小鳩君の彼女である仲丸には本命がいて、小鳩君の他にもう一人浮気相手がいて、三股状態であることを嬉しそうに教えてくれた。

 

しかし小鳩君にとって仲丸のことはどうでもよく、小佐内さんたちが付き合っていることが分かったことで、状況が一歩前進するのだった。

 

瓜野の気持ち悪さが目につきましたが、小鳩君以外の視点から見る小佐内さんはとても新鮮でした。

普通の女の子に見えて、手を出したらタダでは済まされないような威圧感もある、みたいな。

 

小佐内さんに対する執着心を隠さない小鳩君も、とても良かったです。

小市民を目指すと言いつつも、自分の本性が嫌いではないんでしょうね、きっと。

 

状況は整って、いよいよ解決パートです。

次巻に乞うご期待!

 

下巻はこちら。

『秋期限定栗きんとん事件(下)』ネタバレ感想!あらすじから結末まで! - 百本文庫~夜更かしのお供に~

 

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秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

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