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つい夜更かししてしまう本を紹介しています。

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』ネタバレ感想!

 

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

 

長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。そのため異星での植民計画が重要視されるが、過酷で危険を伴う労働は、もっぱらアンドロイドを用いて行われている。また、多くの生物が絶滅し稀少なため、生物を所有することが一種のステータスとなっている。そんななか、火星で植民奴隷として使われていた8人のアンドロイドが逃亡し、地球に逃げ込むという事件が発生。人工の電気羊しか飼えず、本物の動物を手に入れたいと願っているリックは、多額の懸賞金のため「アンドロイド狩り」の仕事を引き受けるのだが…。

【「BOOK」データベースより】

 

 

 

 今回ご紹介する本は、フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」です。

2017年10月27日に公開された映画「ブレードランナー2049」およびその前作「ブレードランナー」の原作でもあります。

 

読んだことがなくとも、名前は聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。

1968年に発表されたにも関わらず、オマージュやパロディという形で現在にいたるまで数多くの作品に影響を与えている、言わずと知れたSFの名作です。

 

故に多くの方がすでに書評されていますので、あくまで一個人の感想を載せたいと思います。

 

 

はじめに、僕は翻訳本がどうにも苦手です。

カタコトの日本語が並び、テンポが悪く話が頭にはいってこない。また海外独特の言い回しを無理やり日本語にしたせいか、ジョークが上滑りしているような感覚がして嫌いでした。

 

しかし、この作品は違いました。

訳者である浅倉久志さんの作品に対する熱意が感じられ、名作を名作としてしっかり届けたいという意志が読んでいてとても心地よかったです。浅倉さんによるあとがきも素晴らしい文章だったので、良ければそちらもお楽しみください。

 

さて、中身についてですが、今では王道となった設定がしかれ、しかしただのバトル作品にならず、人とアンドロイドの違いは何か?など、哲学的なテーマも盛り込まれていて、非常に楽しめる作品です。

 

技術が発達したこの世界では、一人一台情調(ムード)オルガンというものを持っていて、この機械を操作することで好きな時に好きな気分になることが出来ます。

悲しいことがあれば楽しい気分になるボタンを押せば良い、という風に。

 

一方で、アンドロイドは人間に似せて精巧に作られているため、外見で判断することはできず、他者への共度の度合いを測定することによってはじめて判別することが出来ます。

 

感情を操作できる人類。

人類に近い感情を持つアンドロイド。

 

体が生物か機械という違いこそありますが、このアンドロイドたちを目の前にして、果たして僕たちはアンドロイドだと断じて、場合によっては処分することが出来るのでしょうか?

僕はいまだにどちらとも言えません。いずれ現実でもこうした問題に直面する日は来るのでしょうか?

 

それから人工動物を飼うという行為、また生物に対する異常なほどの憧れがこの世界観をよく表現していると思います。

現代とは全く違う価値観だからこそSFとしてあり得ないことも全て受け入れることが出来る点が、今のSFにはない魅力ではないかと僕は考えます。

 

詳しいネタバレにこの話の魅力はないので、中身が気になる人は是非実際に本書を手にして読んでみてください。

ちなみに僕が初めて電子書籍で購入したのは、この本です。思ったより本の感覚に近く満足していますが、やっぱり本棚に飾りたいなー。

 

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

  • 作者: フィリップ・K・ディック,カバーデザイン:土井宏明(ポジトロン),浅倉久志
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1977/03/01
  • メディア: 文庫
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