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『春期限定いちごタルト事件』ネタバレ感想!あらすじから結末まで!

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

 

 

 

今回ご紹介する本は、米澤穂信さんの「春期限定いちごタルト事件」です。

 

この本は元々単発で終わる予定でしたが、春期とつけたからには春夏秋冬を通してやろうという話になり、全四作で完結する予定なんだそうです。

しかし、2009年に秋が出てから最後の一作がいまだに発売されておらず、その発売が今か今かと待っている状態なんです。米澤先生、忘れてたりしませんよね?

 

ということで、まずはあらすじを。

 

小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。

【「BOOK」データベースより】

 

ライトな探偵物語とありますが、もはやキャラ同士の掛け合いが見どころであり、探偵というのはかなり大げさな気もします。まあ、面白いんですけどね。

 

しかし、本作は一作目ということもあり、小鳩君と小佐内さんが小市民を目指すきっかけというか、隠したい本性が見えてくるのが物語の後半です。

なので、それまでは小鳩君の葛藤が理解できず、いまいち面白みに欠けます。

 

その分、二人の本性、特に小佐内さんの本来の性格が見えてきてから加速的に話が面白くなっていきますので、まずは騙されたと思って最後まで読んでみてください。

きっとすぐにでも「夏期~」に手が伸びてしまうはずです。

 

それにしても、米澤さんの作品はアニメ化しやすそうなものが多いですよね。

氷菓もアニメ化して大ヒットしましたし、このシリーズはどうでしょうか?

 

ただ小鳩君も小佐内さんも可もなく不可もなくな普通な容姿なので、京アニによるアニメ化にはどうしても違和感が出てしまいそうですが、まあその辺りは何とかなるでしょう。

兎にも角にも、まずはシリーズ完結を待っています!

 

以下、ネタバレあり。未読の方はご注意を!!

 

 

 

 

プロローグ

 

特にコメントなし。

 

 

羊の着ぐるみ

 

盗まれてしまった女子生徒のポシェットを探すために、小鳩君と小学校が一緒だった堂島と一緒に探す話。

捜査の中で挙動のおかしい生徒が出てくるので、犯人はすぐに分かります。動機もなんとなく読めてしまいます。

 

まあ、学園ものの日常であればこれくらいが不自然じゃなくてえ良いのですかね。

まだ大して面白くないです。

 

 

 

For your eyes only

 

美術部に二年間残された、ほとんど同じ二枚の絵の謎。

また堂島から強引に謎解きを依頼される小鳩君。これが今後パターン化していくんでしょうね。

 

で、謎はというと、小鳩君の視点から得られるヒントから謎を解くのは難しいと思いました。

ちょっと必然性に欠けるというか、こじつけ感が満載です。

 

あと、大浜先輩が取りに来なかった理由が結局分からず、すっきりしないところも不満でした。

勝部先輩によるオチは、人間としてひどいと素直に引いてしまいました。

 

 

おいしいココアの作り方

 

堂島がおいしいココアの入れ方を教えてくれたが、堂島家のキッチンはココアを作ったにしては綺麗すぎる。

そこで小鳩君、小佐内さん、堂島姉でその作り方の謎を解明しようという話。

 

確かに堂島がズボラであることが姉の口からしきりに言われていたし、電子レンジのサイズがかなり詳細に語られていたので、謎解きとしてフェアではありますが、その答えはアンフェアにもほどがあります。

 

だって、そんな作り方をするやつなんてまずいないから!

頭がおかしいレベル!

 

今作で一番腹が立った話です。

 

 

はらふくるるわざ

 

中間試験のテスト中、小佐内さんのクラスで栄養ドリンクの瓶が落ちてしまい、びっくりした拍子に問題の答えを忘れてしまいちょっとご立腹な小佐内さん。

ただ二人の関係から瓶が落ちた謎の解明を小鳩君にお願いすることはできず、遠回しに小鳩君に調査させようとする話。

 

小鳩君は自分たちの関係と小佐内さんの思惑を理解した上で謎を解きますが、それよりもここでようやく小佐内さんの本性が出始めます。

ブラック小佐内の影がチラホラ。

 

 

狐狼の心

 

盗まれていて小佐内さんの自転車が壊れた状態で見つかった。

自転車を盗まれたこと、そして楽しみにしていた春期限定いちごタルトを奪われた恨みを晴らすために、小佐内さんは復讐を決意します。

小鳩君は慌ててそれを止めますが、もう小佐内さんを止めることはできません。

 

せめて危険なことはさせられないと堂島に協力を依頼し、二人で事件の真相に先に到達しようと考えます。

 

ここでようやく二人の本性が語られますが、

 

小鳩君:事の真相を見抜き、それを披露してしまうこと

小佐内さん:自分に危害を加える相手を完膚なきまでに叩き伏せること

 

この性格を隠すために、二人は小市民を目指すことになったのです。

 

小鳩君のは小賢しいけど分かるとして、小佐内さんはもう格闘家か何かですかね。

しかも一発もらってから応酬するスタイルとか、男前にも程があります。方法が陰湿ですけど。

 

ようやく物語が始まったと思わせる話でした。

 

 

エピローグ

 

そして反省会。

二人は小市民を目指すことを改めて誓います。

 

しかし、またしても小佐内さんの身に災いが降りかかり・・・

 

この二人、本性でも互恵関係なんですよね。むしろ本当の目的の方が利害が合致しすぎです。

 

「……あしたからは、きっと上手くやれるだろう」

 

そう心の中で小鳩君は呟き、今日も二人は真の欲求を満たすべく行動するのでした。

 

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

 

 

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